NO73 ニッチトップ

2020年5月20日

「ニッチの分野を攻め、そこでナンバーワンになる」

これはすべての中小企業の生きる道だと思っています。例えば旅行業界でしたら断然トップはJTB、その他の大手と言えば日本旅行、阪急交通社、

近畿ツーリスト等が多い中で、規模の小さな企業が生き残っていくにどうしたらいいのでしょうか?

それはやっぱりニッチな分野でナンバーワンになることです。1つの例がエイチ・アイ・エスです。(株)エイチ・アイ・エスは1980年に設立、

設立して5~6年目くらいで会社がぐらついた時期があったそうです。そこできちんと組織を作り会社の目標を立てみんなでその方向に進むように

したことです。組織作りと共に事業を少しずつ広げています。はじめは旅行好きを相手に一般には知られていないニッチなツアーの企画をしたそう

です。人気だったのは中国ツアーだったそうです。当時は観光で中国に入るのが難しかった時代です。でも実は香港ではビザがとれたのです。香港

までの往復航空券と香港のホテル宿泊をセットして売り出し大ヒットしたそうです。また今ほど人気の観光地でなかったバリ島に目をつけバリ島で

ナンバーワンになるよう、徹底的にプロモーションをかけ売り出し実際にナンバーワンになったそうです。その後タイなど他のアジア諸国にも広げ

ニッチを攻めてナンバーワンになっていったのです。90年代後半には大手旅行会社も安いツアーを販売してきました。エイチ・アイ・エスも影響を

受けるかと思ったそうですが大丈夫だったそうです。大手は法人・団体客には強いのですが個人旅行にはあまり得意ではなかったようです。たくさん

売れば航空券もホテルの仕入れも有利です。今や資本金110億円、年商8000億円、従業員14000人の堂々たる一部上場企業の旅行会社大手

です。澤田社長は『エイチ・アイ・エスがここまで成長できたのは、ニッチな分野でナンバーワンを目指して、前例がなくても挑戦してきたからなの

でしょう。「オンリーワン」と「ナンバーワン」が、勝つためには大切なのです』とおしゃっています。(参考:日経ビジネス2020、1,20号)

 

NO72 ダイバーシティ経営

2020年4月24日

 「ダイバーシティ経営を実現するために必要な4つの取り組み」と題して中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)佐藤博樹教授の

寄稿記事を読み今の時期、当を得たものと思い紹介します。(出典:大阪府経営合理化協会会報NO543号2020,4,1発行)

・ダイバーシティ経営に取り組む企業が増えている。その背景には「日本人男性、フルタイム勤務、時間・転勤制約なし」といった、従来「適材」

 と考えられてきた人材の確保が質・量両面で難しくなったことがある。

・ダイバーシティ経営の基本は従来の人材活用と同じ「適材適所」に変わりはないが多様な人材というと性別、国籍といった属性の多様化を誤解する

 人が多いが、より大事なのは「多様な価値観を持つ人が働き」なおかつ「その人たちが活躍していく仕組みを整備していく」ことにある。

 具体的には次の4つが大事である

・第1は働き方改革である。多くの企業では、フルタイムで働き残業もできることが標準的な社員の働き方になっている。しかし多様な人材が

 活躍できるようにするためには、仕事と介護や子育てとの両立の課題があり従来の働き方が難しい社員などにも責任ある仕事を任せられる働

 方への改革が必要になる。このためには長時間労働を評価する職場風土の変革が必要で、時間意識の高い働き方への転換が求められる。

・第2は多様な価値観を持つ人を受け入れながら、組織としての求心力を維持することである。そのため、組織としての求心力として経営理念

 の浸透、定着が重要になる。

・第3に人事管理システムの改革である。従来は同質的な人材像を前提とした会社主導のキャリア管理がなされてきた。しかし共働きの社員が増

 えたり、仕事と子育てや介護の課題を抱えたりする社員が増えることを考えると、この点の改革が必要となる。

・第4に多様な部下をマネジメントできる管理職の育成と登用が重要になる。管理職の部下マネジメントの基本は①部下が担うべき役割を理解する

 こと(役割理解支援)②期待された役割を実現するために必要な職業能力を部下が保有できるようにすること(能力開発支援)③部下が仕事意欲

 を高い水準で持続すること(仕事意欲維持向上)である。特に管理職には部下や周りの人の意見や考えを聞き出せる「傾聴するコミュニケーション

 能力」が求められる。

 

NO71 危機感

2020年4月19日

 日経ビジネス(雑誌2020,4,20号)に目を引く記事がありました。「賢人の警鐘」というコラムで日本を代表する経営者や賢人が交代でその時々にかなったテーマで寄稿するものです。今回は「危機感は、経営者が人為的に生み出すもの、社長が人気者なら病気だ」というサブタイトルがついています。

寄稿者はミスミグループのシニアチェアマンで前職はボストン・コンサルティンググループでコンサルタントをされていた三枝匡さんです

(著書「V字回復の経営」で有名)

・会社の「危機」と、社員の抱く「危機感」は相関しない。むしろ逆相関と言った方がいい。

 業績が悪ければ危機を感じるはずだが、低い業績の会社ほど、たるんだ雰囲気であるこ

 とが多い。逆に成長企業で業績が良くて危機には見えないのに、社員がピリピリしてい

 て、頑張り屋が多い。

・この逆相関が起きる理由は社員の反応にある。成長企業の社員は会社の外に敏感である。

 「競争相手」の動き、「顧客」の変化、世界の「技術動向」などで、競争に遅れたこと

 を察知すると、社員は「まずい」「何とかしなければ」と考える。一方、業績が低迷し

 組織が澱(よど)んでいる会社では、社員の多くが「内向き」の論理で動く。市場での

 勝ち負けや顧客の声には概して鈍感で競合の後追いで満足する。

・事業再生に成功した会社では必ず改革のリーダーが現れる。古くはNTTに乗り込んだ

 真藤恒氏、GEのジャック・ウェルチ氏、経営破綻した日本航空を2年で救った稲盛和

 夫氏など、事業再生は2年で成功宣言を出せるスピードで進めていくことが肝要だ。2

 年で変われない会社は10年たっても変われない

・経営者はよく計算された「戦略的アプローチ」と「具体的アクション」の切り込み方を

 用意し、その上でトップ自らが矢面に立つ覚悟で既成の組織と既成の価値観を突き崩し

 ていかなければ、改革の成果を引き出すことは難しい。問題の核心に切り込んでいくトッ

 プは好かれることはまれで、それがトップの宿命だ。

NO70 感動経営

2020年3月22日

 

    感動経営は九州旅客鉄道株式会社会長の唐池恒二さんが出した本のタイトルです(ダイヤモンド社2018年刊)1987年国鉄分割民営化JR九州

が発足。それから30数年、逆境の中、危機感を持って改革と挑戦に取り組んだ物語です。

唐池さんは2009年6月に同社代表取締役に就任、JR九州が発足当時は300億円の赤字というどん底のスタートを切った同社にあって、全社員と

共に逆境と屈辱から這い上がり2017年500億円の黒字に導いた立役者です。昨年末唐池会長の講演(テーマ:逆境と夢は人と組織を強くする)

を聴く機会があり大変感動致しました。

・ななつ星(世界一の寝台列車、3泊4日の九州一周旅)

 これは大当たりとなりました。外観、インテリアも最高を追求、7両の客車に14室のゲ  ストルーム、ピアノとバイオリンの演奏、1日目のランチ

    は本場寿司職人が目の前で握ってくれる、沿道で多い時は10万人の人が手を振ってくれる。当選には最高316倍、それでも多くの人が申し込ん

    でくれる。感動が感動を呼んだ成功物語です

・挨拶、夢、スピードが組織を元気にする

 JR九州になって鉄道事業だけではいずれ潰れてしまうということで韓国・釜山港を結ぶ国際航路を開設した船舶事業、外食事業、農業事業を行なって

    いましたが、いずれも赤字に悩まされ社員に元気がなかった。当時唐池さんは「どうすれば、みんなが元気を出してくれるのか!」その答えは

  『声とスピードで元気と「氣」を引きこむ」というものでした。氣」という文字は「広辞苑」では生命の原動力となる勢い、活力の源』とあります。 

そんなことで唐池さんは20年以上前から社内で次のことを訴えてきたそうです

  「氣」に満ちあふれた人は、勝利を手にすることができる

  「氣」に満ちあふれた職場は、元気になれる

  「氣」に満ちあふれたお店は、繁昌する

  「氣」に満ちあふれた組織は、組織の中に活力がみなぎる

   企業であれば、業績が上がる

結果、挨拶から整理・整頓・清掃に至るまで逆境の中、社員が立ち上がり丁寧、誠実な行動、継続、進化で多くのプロジェクトを成功に導き黒字経営

にまで駆け上がっていくのです。

この本で気づいたことは「夢・ビジョン」をもって、ひたすら邁進すること、感動することこそがすべての「いい仕事」のはじまりであり「いい仕事」

はたくさんの人を感動させる。そして人は期待値をあげればどんどん伸びるという事です。是非唐池さんの「感動経営」を手に取って読んでみて下さい。 

NO69 2つの企業価値

2020年2月9日

 「企業とは営利を目的として継続的に生産・販売・サービスなどの経済活動を営む組織体」という事ができますが、英語ではCompanyです。これは

もともとラテン語でCom(ともに)とPanis(食料としてのパン)という言葉からなっているそうです。食を共にする仲間ということです。ですから

「何か“これ”と思う大事なこと」をやるために志を同じくする人々が集まったのがCompanyと考えることができます。

そこで2つの企業価値という事ですが首都大学東京の経営学の松田千恵子教授は著書「グループ経営入門」の中で次のような定義をしています。

                      2つの企業価値

        「左脳的企業価値」                 「右脳的企業価値」

     (将来のキャッシュフロー創出力)           (企業の存在意義や理念)

左の利潤追求の成功度を測る指標を企業価値の「土台」、右の企業として追い求める目的を企業価値の「大黒柱」という形で表現されています。

利潤追求の成功度は負債と資本のコストを引いたキャッシュベースの利益という事ができます。

2つ目の企業価値が企業の存在意義や経営理念です。社是、社訓とも言えます。企業のその存立基盤として大事に守っている価値の最上位の概念が

ミッション、使命です。そのミッションをどういう意識、態度、行動で希求し続けたいか、これがバリュー、価値です。この2つを合わせて

「企業理念」と呼ぶわけです。この企業理念が社内に浸透し実践されていることが企業価値なのです。信頼が増しブランド価値が向上するわけです。

そしてこの次に出てくるのがビジョン、長期的な青写真のことです。中長期経営計画がまとめられていくと目指すべき方向が見えてくるわけです。

よくまとまっていると思います。

NO 68 照一隅

2019年12月17日

 この言葉はアフガニスタン東部ナンガルハル州で12月4日医療や灌漑事業などの人道支援取り組む非政府組織(NGO)「ぺシャワール会」の現地代表、中村哲医師(73)が銃撃され死亡された生前の言葉であり信条なのです。中村哲

「照一隅」(いちぐうをてらす)の出典は比叡山延暦寺を創建した伝教大師の言葉だそうです。

中村哲さんは大きなことは出来なくとも自分の出来ることで一隅を照らすことに全力を上げる、そうした信念でアフガニスタンの地でアフガニスタンの惨状を見て30年にわたって医療、灌漑事業に自ら先頭に立って取り組んで来こられたのです。なかなか出来るものではありません。驚きです。(私のブログNO33参照:アフガニスタンで活躍する日本人 中村哲さん)心からお悔やみ申し上げます。

「幸福」について永年研究されている米ブルッキングス研究所、キャロルグラハム博士によると「共に高め合い」「自ら切り開く人生こそ幸福」とおしゃっています。(「人類の幸福論」より)またラッセルの幸福論によれば「熱意こそ幸福と健康の秘訣」また「仕事の中で幸せを感じられるように努力することは人生の大事だ」また「努力とあきらめのバランスが必要であり中庸を守ることだ」とも言っています。

こうして幸福について考えてみると中村哲さんは自ら人生を「照一隅」という信念のもと人生をアフガニスタンの復興に捧げられ大きな貢献をされ幸せであったと思います。

NO 67 育成上手の教え方

2019年11月13日

 育成上手な人はどのような教え方をしているのか調査されてきた甲南大学教授尾形真美哉さんの記事で(2019年10月25日 生産性新聞)よく

 まとめられていますので紹介します。

1その仕事をやる理由や根拠、思想まで遡り(さかのぼり)説明してくれる。

  なぜその仕事をやらなければならないのか。その仕事が職場や会社にどのような意味があるのかをしっかり説明することで被育成者の仕事に

  取り組む意識や姿勢も変わり、成長につながります。

2説明が丁寧、分かり易い、適切である。

  説明が分かり易いことが育成上手の条件でしょう。

3手本・見本を示す。

  育成上手は、単に言葉で説明するだけではなく、自分自身で実際に見本や手本を示すことで視覚化し、理解し易くしています。

4実際に自分がやってみて、それを実践させ「経験や失敗から学ばせる」ことです。

  成長していく上で最も重要な要素は「経験」です。苦境や修羅場ほどの経験でなくとも被育成者が少し背伸びしなければ達成

  できないような経験や失敗経験を積ませることは個人の成長には有意義です。とりわけ失敗から学ばせることは効果的です。

  失敗が最も人の内省を促すからです。育成上手は失敗の許容範囲を見極めることができるからです。この能力は育成上手の

  条件と言えるでしょう

5自分で考えさせることです。

  それには2つあります。まず「仕事のやり方や進め方を自分で考えて取り組ませること」と「なぜそのような結果になったのか、

  その結果について自分で考えさせること(内省)」です。先の経験や失敗を積ませるだけでは不十分で、しっかりと自分の頭で

  考えさせることが重要になります。

6フィードバックを怠らないことです。

  育成上手は適宜フィードバックを怠りません。失敗の許容範囲を越えさせない効果と常に支えられている安心感にもつながります。

7褒めることです。

  良い結果を出した場合は、その努力と成果を承認しほめてあげることは重要です。

  結果が悪かったとしても、その過程での努力は承認すべきです。一方で育成には厳しさは不可欠です。育成における厳しさとは

  強制的厳しさではなく、「仕事に妥協しない厳しさ」と「部下の更なる成長を期待する厳しさ」です。

最後に上記7つの指導方法が効果的になるのは両者の信頼関係が構築されている時です。「信頼関係」を構築するためには「育成者自身が

仕事に妥協せず取り組むこと」と「被育成者とのコミュニケーション」の2つが重要です          

 

NO 66 若手社員を育てるコツ

2019年11月11日

 「忙しくても若手社員を育てるコツ」というタイトルで永年人材研修を手掛けられている講師ビジョン

 社長の島村公俊氏の記事を取り上げます(2019年11月8日 日経産業新聞)

 ・全体像が把握できていないまま、個々の手順を覚えるのは若手に限らず難しい

 ・過去に「とりあえずやって見ろ」と言われて育った世代ほど、この点に気付かないことが多い

 ・仕事の見せ方にもコツがある。「先に仕事の全体像を伝えること。その上で、プロセス

  のどの部分に着目すべきかを示すとよい」

 ・例えば接客販売には5つのステップがある。「声がけ」「顧客ニーズの把握」「プレゼン

  テーション」「クロージング」「アフターフォロー」といった具合だ。

 ・「今日はニーズの把握に重点を置く」「こちらの質問に相手がどう答えたか、しっかりメ

  モを取ってほしい」などと具体的に指示を出しておくとよいだろう

 ・教える側も忙しく丁寧に指導している暇がありません。しかし「今の若手の教育に力を

  入れるか、後回しにするか。長期的にどちらが会社のためになるかは明らかだろう」

 ・大事なことは後輩から見て、報告しづらい先輩になっていないか。十分な意思疎通が出

  来ていないとトラブルの元になる。日頃のコミュニケーションと月に数度の面談が大事だ。

 ・指導する側の負荷は高まるが工夫次第で状況は変えられる。若手の教育を「点から面に

  広げる」ことを勧めたい。自分ひとりの点でなく周囲のメンバーを巻き込んで面を広げ

  るやり方だ。若手を同僚に紹介するだけで、互いに接点ができ同僚が助言をしてくれる

 ・自分からどう動けばいいかを考え始めたら一歩前進だ

 ・中途入社の若者をどう育てるか。十分な配慮が必要だ。知識や経験も不足、前の職場と

  の文化や慣習の違いもある。「なぜできないのか」とプレッシャーをかけるのは危険だ。

 ・企業は資金のある時こそ社内教育の仕組みに投資してほしい。いざ業績が悪化したとき、

  そこで育てた人材や仕組みこそが最大の武器になるのだから。

以上が要点です。参考にしてみて下さい。

NO65 伸びる会社、沈む会社

2019年10月18日

 業績不振の会社に共通していることは「事業、商品サービスが変わらない」「顧客が少ない」「売上が伸びない」「経営課題に確実に手が打てていない」

ことが業績低迷の原因です。今回取り上げるのは経営コンサルタント小宮一慶の著書「伸びる会社、沈む会社の見分け方、48のチェックポイント」(PHP

ビジネス新書:2019年10月発刊)です。下記は私が選んだ代表的な16項目です。会社を見分けるポイントは「ヒト」「モノ」「カネ」の動きです。

          ◎

         ×

1 ユーザー目線で見分ける

・業界全体の課題を解決する会社は飛躍的に伸びる

・そんなの無理と考えてしまう会社は沈む

・クレームに「対応」する会社は伸びる

・クレームを「処理」しようとする会社は沈む

・お待たせしない意識が徹底している会社は伸びる

・待たせて平気な会社は「お客様愛」がない

・良い商品やサービスこそが最高の営業力

・新規開拓営業が得意な会社はダメな会社

2 社員の姿勢や社風で見分ける

・1人ひとりが会社全体のことを考えている会社は

    強い

・会社全体のことに無関心な社員が多いと危ない

・ワクワクする中間目標がある会社は伸びる

・売上、利益の数字目標ばかりの会社はしんどい

・伸びている会社は計画をどんどん見直す

・ダメな会社は計画だからと変えない

・成長している会社では会議で多くの人が話す

・停滞している会社の会議はリーダーの独演会

・お客さま第一、理念の共有、働く楽しさが揃っ

    ていれば◎

・社員が楽しく働けているかどうかに言葉を濁す

    会社は要注意

3 経営者の姿勢で見分ける

・成功する社長はみんなせっかちである

・社長室にこもる社長は自社の方向付けをあやまる

・10年後から会社を見ている社長は失敗しない

・目の前のことしか考えていない社長が一番危ない

・社内に新風を吹き込み、波風を立てる社長は見ど

   ころあり

・変化を嫌う社長、会社はできない社員には居心

 地は良くても×

・できる社長は我慢して聞くことができる

・ダメな社長ほど、1人でしゃべりまくる

4 財務諸表で見分ける

・稼ぐことと同じくらい使い方を考えている会社は伸びる

・稼ぐことがすべてと考えている会社は沈む

・人にお金をかける会社は必ず伸びる

・従業員を大切にすると言いながら給料が低い会社は

   沈む

・危機時に借金してでも手元流動性を高める会社は

    安心

・危機時自己資本比率にこだわって借金しない会社は

   心配

NO 64 大廃業時代

2019年10月12日

 この10月8日NHKスペシャルで「大廃業時代」というTV番組があり年間4万件の廃業があるという大変な時代に突入することに驚きました。また日本経済新聞でも10月6日、10月10日と大廃業時代に関する記事が載っていました。

経済産業省によると中小企業の経営者の年齢層は年々高齢化しており、2020年頃には数万の団塊経営者の大量引退が到来するというのです(この20年間で経営者年齢の分布の山は47歳から66歳に移動、経営者の高齢化が進行)

60歳以上の経営者のうち50%超が廃業を予定しており、特に個人事業者の7割が「自分の代で事業をやめるつもり」と考えているそうです。

廃業予定企業の理由(n=1929;イロリオ調査)は①当初から自分の代でやめる予定:40%、②事業に将来性がない:30%③後継者がいない:30%となっています。

まさに2020~2025年は大廃業時代となるようです。 現在中小企業の数は360万社(中小企業庁:2016年時点、但し10年前の2006年では420万社でその後減少傾向、)ですが2025年までにその1/4が廃業、65万人の雇用と22兆円の売り上げが減少するそうです。大変な数の廃業が見込まれています。

企業数減少は「需要の不足」「競争の激化」「経営者の高齢化」などの原因があります。経営で大事なことは「経営上の問題に有効に対応する」ことなのです

帝国データーバンクによると後継者不在率が最も高いのはサービス業(71,3%)ついで建設業(70%)不動産業(68,9%)となっています。

日本の開廃業率は欧米に比べて低水準と言われています。特に廃業率は米国が10%(11年)、英国が12,2%(17年)、日本は同3,5%に止まってきました。東京商工リサーチによりますと2018年の国内倒産件数は8235件、それに対して休廃業・解散件数は4万6724社と年々増加にあるようです。

また19年版の中小企業白書によりますと16年度の35%の中小企業が営業赤字で3割超が債務超過に陥っているそうです。逆に言えば65%は黒字経営なのです。

「前向きな廃業」とは、赤字が続いても債務超過に陥る前ならば、事業再生など様々な手が打てます。債務超過前に買い手を探すなど早期対策で売却、廃業を進めたいものです。