代表ススムのブログ

NO33 アフガニスタンで活躍 中村哲さん

2016年10月2日 日曜日

 この9月10日NHKの「武器ではなく命の水を 医師中村哲15年の歩み」というTV番組を見て心を揺さぶられました。まさに「意志あるところに道あり」を体現された感動の番組でした。

                                                                   

中村哲さんは1946年福岡生まれ、九州大学医学部卒業 日本の診療所勤務を経て84年にアフガンの隣国パキスタンのペシャワールに赴任、以来、ハンセン病を中心とした貧困層の診療に携わり 86年よりアフガニスタン難民のための医療チームを結成し、山岳無医地区での診療を開始 98年に基地病院PMSを設立、2000年からは診療活動と同時に大旱魃に見舞われたアフガニスタン国内の水源確保のために井戸掘削(1600本の飲料用井戸の建設)を行いました。TVでは03年から始めたアフガニスタン東部ナンガルハール州に流れるクナール川から25キロメートルに及ぶ灌漑用水路を引く難工事を日本の水利技術を研究、福岡県の築後川の江戸時代の「斜め堰」をモデルに中村哲さんの陣頭指揮で進められる様子が放映されたのです。

この工事はアフガニスタンそのものが砂漠地帯にもかかわらず農業国家である事、かつ内戦で国そのものが疲弊しており、パキスタンから帰還した難民が押し寄せるなど危機的状況の中で灌漑用水路を引くことで農業の再生、人の再生に取り組まれたのです。

その結果、3000ヘクタールに及ぶ大地に灌漑が進み、砂漠が青々とした穀倉地帯に変貌し延べ60万人の農民の協力で6年に及んだ大事業が州を国を潤す実りの大地に変わっていくのです。総工費16億円、1日の送水量は30~40万トン 圧巻です

中村哲さんを中心にアフガニスタンで医療、給水、農業などの分野で長期にわたり活動しているのがPMS(ピースジャパンメディカルサービス)です。そして日本のNGO「ぺシャワール会」が支援するアフガニスタンの現地NGOがPMSなのです。中村哲さんはPMSの総院長でぺシャワール会の現地代表でもあるのです。このPMSの灌漑事業は、もともと医療支援から活動を始めた中村医師の「安全な水と食料は、100万本のワクチンに勝る、病気は後でも治せるが、水がなければ人は飢え死にしてしまう」という思いから始まったそうです。JICAもアフガニスタンの農業と農村開発に支援をしています。9月30日の日経新聞「私見卓見」というコラムに駐日アフガニスタン大使が「日本は多くの開発援助をしてくれた、中でも国家の行政官の人材育成支援に多くの貢献をしてくれている」と賛辞を送ってくれています。私もこの番組を通じて中村哲さんの活動を知り平和ボケを排し「自分に何が出来るか!」を自問自答し今後の人生の糧にしたいと思います。                     

NO32 胃のポリープ手術をする

2016年8月31日 水曜日

今まで病気らしい病気をしたことがなかったのですが(過去、10年おきぐらいの頻度で尿路結石で3度救急車で運ばれ痛み止めの点滴で1晩入院、1度は結石爆破入院した事も、また仕事のストレスから5か月ほど不整脈が続き大学病院に通院)

この8月 はじめて胃のポリープの切除の手術のため1週間入院しました。

7月末「少し胃のあたりに違和感」があり家内に相談すると近所に良い胃腸内科のお医者さんがあるから見てもらったらということで、内視鏡検査をしてもらいました(6年程前、大腸の内視鏡検査を受けて 内視鏡が内部の曲がった腸の角にあたった時の痛みが尋常でなかったこともあり数年前からの人間ドックでも内視鏡検査を避け胃の検診はバリューム検査で通していました)

その結果、「胃の上部に7ミリ程度のポリープがあり、組織を採って生検の結果をみるが、場合によっては大きい病院を紹介するので切除しておいた方が良い」と言われました。1週間後、「生検の結果、癌ではないが、いずれ癌化する可能性があるので早目に内視鏡で切除した方が良い」とのことで日赤病院の胃腸内科に紹介を頂きました

内視鏡検査の後、夏休み期間を利用して1週間入院しました。初日に内視鏡によるポリープの切除が行われ、当日の朝から翌日昼食まで5食は絶食、点滴で過ごし翌日の夕食から軽めのおかゆと煮野菜、煮魚を頂きました。点滴のせいで特別お腹が空くということもなく、手術の時も含め胃痛はありませんでした。入院で2キロ体重が減りました。退院の前日、内視鏡検査の時、患部から多少の出血があるということで電極で患部を焼く手当をしていただきました。4度焼く模様を画像で見ていましたがバシバシという音と共に真っ黒に患部が焼かれ止血が成功しました。内視鏡という医療機器は想像以上に進化しており「内部を写す」「切除する」「薬液を注入する」「焼く」等様々な医療行為を自在に遠隔操作で出来ることを目の当たりにして驚きました。

結果、胃患部周辺約2,5センチ四方を3層にわたって切除が成功に終わって退院後2週間がたちますが経過は良好です。手術の時の細胞の生検の結果は初期の癌ということで早いうちに手当して良かったと納得している次第です、担当医師もベテランの方で安心して手術を受けられましたし看護や食事も申し分ありませんでした。今回のポリープ手術に至った原因は何だったろうと考えてみますと、3度の食事は特別偏ったモノでもありませんでしたので1年程前から夜中12時ごろに2~3杯の冷たいウイスキーや焼酎を週3~4回飲むようになったのがいけなかったのかなと思っています。(それまで家で飲むことは月に1~2度で少なかった)今後は飲酒の量を減らし飲酒の時間帯も夕食時か10時までにし胃へのストレスを減らしたいと思います。

いずれにせよ6年前から始めた毎日のウォーキングやラジオ体操を続け、規則正しい生活、小さな異変にも早め早めにケアすることが大切だと思いました。人参ジュースに青汁も続けます。健康であってはじめていい仕事が出来るわけですから・・・

<追記>3か月後の11月、内視鏡による胃の手術後の検診を行いましたが経過は「良好」とのことで安心しました。合わせて血液検査でも過去、コレステロール値が高い、ALT(GPT)の肝機能が高い等改善を指摘されていましたが、今回は「すべての値でクリアーしていてまったく問題ありませんね」と言っていただき一安心しました。今後飲酒や食べ過ぎに注意し運動に心掛けたいと思います。

NO31 マーケティングとイノベ-ション

2016年7月31日 日曜日

「マーケティングとイノベーション」という言葉を初めて使ったのはP・F・ドラッカーだと思います。ドラッカーは企業の目的は「顧客の創造」と定義しました。50年も前に読んだドラッカーの著書「現代の経営(野田一夫監修 ダイヤモンド社刊)」の中で「事業は顧客の創造を目的とするものである。そしていかなる事業も2つの基本的機能―すなわちマーケティングとイノベーション(革新)-を持っている」と定義しています。マーケティングとイノベーションについてNO29のブログでも取り上げましたがドラッカー著「マネジメント 基本と原則(エッセンシャル版 2001年発刊)」を見てみると納得できます。

・マーケティングは「顧客の欲求からスタートする」すなわち顧客の価値、欲求、期待、現実、状況、行動から

    スタートする「我々は何を売りたいか」ではなく「顧客は何を買いたいか」を問う。「我々の製品やサービ

    スにできることはこれである」ではなく「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足はこれである」   

・マーケティングの理想は販売を不要にすることである マーケティングが目指すものは顧客を理解し、製品・

 サービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである (注)マーケティングは「顧客・市場の分析」

 からスタートすべきであると指摘しています またおのずから売れるとは「売れる仕組みづくり」とも言えます 

・マーケティングの目標は①既存の製品についての目標 ②既存製品の廃棄についての目標 ③既存の市場における

 新製品の目標 ④新市場についての目標 ⑤流通チャンネルについての目標 ⑥アフターサービスについての目標 

 ⑦信用供与についての目標である

・しかしこれらの目標は次の2つの意思決定の後でなければ設定できない。集中の目標と市場地位の目標である

・集中についての目標があって初めて「われわれの事業は何か」との問いに対する答えも 意味のある行動に変える

 ことが出来る。また市場地位についての目標は「最大」ではなく「最適」である

・イノベーションは顧客自身が気がついていない欲求を創り出して「新しい満足を生み出す」ことである イノベー

 ションの結果もたらされのは、よりよい製品、より多くの便利さ、より大きな欲求の満足である

・いかなる企業にも3種類のイノベーションがある ①製品とサービスにおけるイノベーション ②市場におけるイノベーションと

 消費者の行動や価値観におけるイノベーション ③製品を市場にもっていくまでのイノベーションである

アイフォンなどはiPadと携帯電話とインターネット端末を結び付けた①のイノベーションでしょうし宅急便は③のイノベーションと

言えると思います  今我々企業にとってもマーケティングとイノベーションについて見直す必要があるのではないでしょうか

NO30 5つのエン

2016年6月12日 日曜日

  6月7日の日経新聞5面の経済観測に『消費を支える「5つのエン」』という記事がありました。クレディセゾン社長林野宏氏の記事です。最近の消費の特徴をよくとらえています。

・クレジットカードを利用する買い物金額の割合は15%で増加傾向にある

・わが社のデーターでは2010年度に物販、非物販の比率がちょうど半々だった

 15年度は46対54になった(非物販の比率が増加)

・飽和の時代なのでモノや所有に対するこだわりが薄れてシンプルな生活を志向している

・最近の特徴として10代、20代が他の世代に比べて国内外の旅行支出金額が

    前年比20%前後の強い伸びとなっている

・百貨店でのカードの使い方を見るとレストランやデパ地下での利用が活発だ

・いろいろなデーターや世相などから分析してみると消費が活発なのは

『5つのエン』に分類される

・エンゲル係数:食に関する出費

・子供の教育支出:エンゼル

・スマホで遊ぶエンターテイメント

・ふるさと納税や親からの相続

・婚活や絆を強くしようとする縁故:旅行、レジャー

・5つのエンの中には日常生活への支出は抑え、何か特別な時間や機会では積極的に

 消費しようとする姿がうかがえる。この傾向は続くだろう

・ボーナス一括払いが減り毎月の支払いが一定額になるようなリボ払いが急増している

・消費に力強さが欠けるのは現在の商品やサービスに消費者が飽きている。消費には動機と大義が必要だが

 それに応える新しい商品やサービスを提供出来ていない。高度成長期の20世紀型ビジネスモデルで物事を

 考えているから需要と供給にギャップができる

以上のように非物販比率が増え買いたいものがなかなか無いという状況が続いています。消費者に買いたいと思わせる魅力ある商品・サービスの提供に企業サイドでもう一段の努力が必要なのでしょう。特に「20世紀型ビジネスモデルで物事を考えているから需要と供給にギャップができる」という言葉に思わず息を呑みました。従来の発想や考え方を変えないといけないと

NO29 縮小の中の発展

2016年6月2日 木曜日

   最近P・F・ラッカー著「マネジメント 基本と原則」を改めて読み直していました。そんな折、昼食にお客様とたまに利用する私の自慢のフレンチレストランに行った時のことです。しかしいつもの店内と様子が違うのです。店主にお聞きすると、人が思うように取れないので最近1か月かけて店を改装すると共に座席数を24席から12席に縮小、少人数の従業員で対応出来、料理長をされている店主が厨房から店内が見えるようガラス張りにして、パスを減らしお客様の食事のテンポに合わせて料理を出せるように快適な空間づくりをしましたと。実際、改装前より明るい店内になって、サービスも行き届いており、食事も一段と美味しくなっているように感じたのです。いつも予約でいっぱいの人気のレストランです。

この2年、経営コンサルタントとしてお客様の発展を願って、様々な活動をしてきましたがこういう選択もあるものだと感心したのです。

ドラッカーの「マネジメント 基本と原則」の中に「事業の目標」という項目があります。

・目標の設定において、中心になるのはマーケティングとイノベーションである。なぜなら、顧客が代価を支払う

     のは、この2つの分野における成果と貢献に対してだからである

・マーケティングの目標は1つではない。しかしいずれも、これらの目標は基本的な意志決定の後でなければ設定

    できない それは集中の目標(集中すべき分野、立つ場所)と市場地位の目標である

・企業が業績をあげる上で必要とする3種類の経営資源それぞれについても、目標が必要である。3つの経営資源

    とは土地つまり物的資源、労働つまり人材、資本つまり明日のための資金である。特に良質の人材と資金を引き

     寄せることが出来なければ企業は永続できない

このフレンチレストランは「人が採れない」という経営課題の中でお客様を第一に顧客価値創造をすべく企業の次の発展を考え客席を減らして改装し、3つの経営資源を活かす道を選択、意思決定されたのです。ズルズルと経営課題を引きずって経営をするよりも最適な経営を考え、時には「縮小の中の発展」のため企業永続の道を選択、意志決定するべきなのでしょう。

NO 28 オバマ大統領広島訪問

2016年5月29日 日曜日

 既にご存知の方も多いと思いますがオバマ大統領が5月27日、被爆地広島を訪問、献花の後、17分間の演説をされました。私も広島平和記念公園に到着から帰路につかれるまでの一部始終をTVで見てオバマ大統領の考えや信念、人柄、勇気ある行動に触れ感動致しました。演説は「71年前の明るく晴れ渡った朝、空から死神が舞い降り、世界は一変した。閃光と炎の壁がこの街を破壊し、人類が自らを破滅に導く手段を手にしたことをはっきりと示した」という文学的な言葉で始まりました。演説の要旨は次の通りです。

                                                         

・犠牲となった日本人、朝鮮半島の人、米国人捕虜の死を悼むために広島に来た

・核兵器のない世界を目指すべきだ

・我々には(戦争の)苦しみをなくす共通の責任がある

・日米は戦後、同盟だけでなく友情もはぐくんできた

・広島と長崎が我々が道義的に進歩した証として思い出されるようにしなくてはいけない

・私が生きてる間には(核兵器なき世界を)達成できないかもしれないが、可能性を追い求めていきたい

平和記念公園に到着後、原爆資料館を見学され、展示を見ながら「心が動かされた」ともおっしゃったそうです。演説後の被爆者の方との会話や握手の様子からも我々TVを見ている者にも心の通った交流が伝わってきて「ほんとうに良かった」と思えたのです。帰路オバマ大統領は「広島に来られて本当に良かった」と口にされたそうです。

最初の被爆者の坪井さん(91歳)との会話で、『坪井さんが「大統領退任後も広島に来てください。核兵器のない世界に向けて、あなたと共に頑張ろうと思う」と伝えられるとオバマ大統領は笑みを浮かべながら「サンキュー」を繰り返しながら何度もうなずいた』と報道されていました。オバマ大統領は09年に日本に初めて訪日された時「在任中、被爆地に訪れることが出来れば光栄だ」ともおっしゃっており、日経新聞でも「今回の広島訪問の背景にはオバマ氏自らの信念と執念がある」とも伝えています。現実の世界と理想には大きなかい離がありますが(米ロを中心に世界8カ国が核兵器を保有、なかなか削減が進まない)今回のオバマ大統領の広島訪問は次につながる第一歩にはなったように思います。

NO 27 成功はゴミ箱の中に

2016年4月30日 土曜日

このタイトルはアメリカ、マクドナルド創業者レイ・クロック(1902~1984年)の自伝につけられた日本語版のタイトルです。プレジデント社刊、アメリカでの本の原題は「Grinding It Out(やり抜く)」です。

読み始めて前半はそうでもなかったのですが、後半へ読み進むにつれてレイ・クロックの事業の創り方、市場の捉え方、人材の発掘の仕方、働きぶりに圧倒されました。経営者はこうあるべきと深く感銘を受けたのです。

レイ・クロックはアメリカ・イリノイ州オークパークに生まれ、高校中退後、ペーパーカップのセールスマン、ピアノマン、マルチミキサーのセールスマンとして働いていました。1954年、52歳の時、マクドナルド兄弟と出会い、マクドナルドの商品、店の効率性、標準化された作業手順に惚れ込み、マクドナルドのフランチャイズ権を獲得、全米にチェーン展開をしていく物語でもあります。そしてマクドナルドは1984年には全世界8000店舗へと拡大しています(2010年時点で世界119カ国に30000店舗に展開)

そしてユニクロの柳井正社長、ソフトバンクの孫正義社長のお2人が「これが僕たちの人生のバイブル」と、この本を推奨しています。巻末にお2人の寄稿や対談が掲載されており啓発を受けます。このお2人が確かにこの本に大きな影響を受けられたこと、また日本マクドナルドの創業者、藤田田さんにも大きな影響を受けたことを知りました。孫さんは高校中退してアメリカ留学から一時帰国した10代の頃、何度も藤田田さんに面談を申し入れ、「これからはコンピュータービジネスの時代だ。オレがお前の年齢だったらコンピューターをやる」「コンピューターを勉強しろ」と激励を受けています。今日のユニクロ、ソフトバンクの発展を見る時、10代、20代の時にこの2人の成功者に大きな影響を受けられていることが分かります。そして奇遇にもお2人とも1994年に株式公開し今日、日本を代表する企業となったのです。

そしてレイ・クロックが残した言葉、成功者の発想法は「be daring(勇気をもって)、be first(誰よりも早く)、be different(人と違ったことをする)」柳井さんはこの言葉は商売の神髄だと自ら手帳に書いて何度も何度も眺めたそうです。またレイ・クロックは「私は細部を重視する。事業の成功を目指すならば、ビジネスにおけるすべての基本を遂行しなくてはならない」また「マクドナルドの基本原則はQSC&V(クオリティー、サービス、清潔感、バリュー」「やり遂げろ、信念と継続だけが全能である」「未熟でいるうちは成長できる、成熟した途端、腐敗が始まる」とも言っています。是非一度読んでみてください。また合わせて藤田田さんの著書「ユダヤの商法」(1972年発刊、絶版、中古本でも7000円~12000円はしますが)も参考になります。

NO 26 IoTと第4次産業革命

2016年3月16日 水曜日

 最近、IoT(Internet of Things)とか第4次産業革命という記事をよく目にします。

IoTとは「モノのインターネット」ということでモノがインターネットにつながり、離れた場所でのやりとりができるようになることです。家電や車、機械や装置に至るまであらゆるものがインターネットを介してつながることにより、新たなビジネスモデルの構築が可能になります。AIはコンピューターが人間のように学び、考え、判断する「人工知能の技術」を言います。

第4次産業革命までの流れですが第1次は18世紀後半からの工業化、蒸気機関の発明を契機とした英国の産業革命、第2次は19世紀後半~20世紀初頭の電力活用によるベルトコンベアーによる大量生産、第3次は20世紀後半のコンピューターによる自動制御装置を活用した工場の自動化です。

第4次は21世紀に入って2010年以降インターネット化を皮切りにIoTやロボット、AIなどを製造現場で活用し生産効率を大幅に向上させる取り組みと言われています。

既にドイツ連邦政府が「第4の産業革命」と名付けて官民一体で推進しています。それを「インターネット産業革命」とも「インダストリ―4.0」とも言われ、具体的には「スマート(利口な)工場の実現」とも言われています。そしてIoT時代に必要な人材はものづくりとITをよく知る「デジタル人材」です。

スマート工場はインターネット産業革命の中核となるもので、ネットで結ばれた生産システムです。人間が関与しなくても機械やロボットがネットによって情報を伝達し(FAとITの融合)生産します。

この種のスマートビジネスが最も進んでいるのがグーグルやフェイスブックがある米国です。同国はインターネット利用者の嗜好に関するビックデーターの活用においては世界で最も進んでおり、インターネット利用者が関心のある製品や旅行先の検索をした後、次に見るサイトの片隅にそれに関する広告が自動的に現れたり、そうした製品に関する宣伝メールが送られてきます。これは人工知能がデーターを分析して消費者に商品を勧めるスマートビジネスの一例で、amazonなど日本でも同様のことが起こっています。

またForbes.com contributorsに掲載されていた記事に先ごろ閉幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で発表された「The Future of jobs」(仕事の将来)によるとテクノロジー(第4次産業革命)は今後5年間のうちに世界中のビジネスモデルだけでなく雇用も奪うというのです。(日経BPムック 日経ビジネス特集版”まるわかりインダストリー4,0 第4次産業革命”では今後20年と位置付けています:IoTでモノ作りが激変/15年5月発行)

例として「中国・東莞市にある精密機械工場では総勢650人の従業員のうち90%がロボットに置き換えられ、これにより生産性は向上し、同じ割合で不良品の発生率が低下した。現在60人ほどが勤務しているが仕事はロボットのメンテナンスである。将来20人程度で稼動可能と言われています」

この3月16日の日経産業新聞特集記事に製造業、進化の5条件として「グローバル化」「次世代工場」「デジタル人材」「マス・カスタマイゼーション(顧客の要望に合わせたカスタマイズ品を大量生産品と同等の効率やコストで造る)」「軽量化技術」の5つを上げています。大変な変革の時代が到来します。

NO 25 働く意味を考える

2016年2月29日 月曜日

「働く」という意味を広辞苑で引きますと①うごく②精神が活動する③精出して仕事をする④他人のために奔走する⑤効果を表す、作用するなどが挙げられています。そして「労働」では①ほねおり働くこと、体力を使用して働くこと②人間がその生活に役立つように手・脚・頭などを働かせて自然質料を変換させる過程とあります。さらに「仕事」とは①する事、しなくてはならない事、特に職業、業務をさす②事をかまえてすることとあります。また働くとは「価値を生む」ことであり「傍(はた)を楽にする」という人もいます。一言で「働くとは仕事をすることであり、収入を得る事」となります。そして「会社や職場のニーズに応えて主体的に働く」ことが大事だと思います。

内閣府が定期的に実施している「勤労意識に関する調査」によると働く目的は次の3つです。

          ■ お金を得るため・・・・・・・・・・・・58%

       ■ 社会の一員として勤めを果たすため・・・24%

          ■ 自分の能力を発揮するため・・・・・・・15%

以上のことから人間は生活していくために働く必要があり、他方で労働という行為を通して自らの存在意義(アイデンティティー)を確立させるために必要不可欠な活動ということが出来ます。

またシュ―マッハーという経済学者によると「良い仕事」には次の3つの機能があるとしています。①人間すべてがそれなりの生活をするために必要である財とサービスを創出すること②自分の能力を活用し開発する機会を与えること③他人と同じ仕事に参加して、人間が生来もっている自己中心の傾向を克服できること。そして谷内篤博氏は「良い仕事とは仕事の内容如何によって決まるよりも、仕事への姿勢やスタンスによって決定される」という(出典:「働く意味とキャリア形成」谷内篤博著 勁草書房)

一方、古代インドに人間の誕生から死までの人生を4つの期間に分けた「四住期」という考え方があります。

    ■ 学生期・・・将来に備えて心身を鍛え勉学する時期 

    ■ 家住期・・・職業を持ち家族を育て暮らす時期

    ■ 林住期・・・その勤めを果たし自然に向き合い自身の人生を静かに見つめる時期 好きな事をする時期

    ■ 遊行期・・・安らかに死を迎える余生の時期

このことから私たちはそれぞれの人生のポジションを知り、そのポジションにあった生き方を決め人生の充実を図ることだと思います。私の人生は今、林住期にありますが、働き学ぶことを楽しみながら首尾よく年を重ね妻共々「日々充実」の人生を送っていきたいと思っています。

NO 24 ヤマダ電機の今後を考える

2016年1月28日 木曜日

 ヤマダ電機のトップ人事の発表がありました(2月19日発表、4月1日付)山田会長の社長再登板から2年半ぶりの新人事です。山田会長が戦略を、一宮副会長兼CEOが中期経営計画を、04年にダイクマ出身でヤマダ電機に入社、人材育成で人事畑を歩み、ここ数年の業績立て直し、接客向上や従業員の効率配置など人事制度改革で手腕を発揮してきた常務の桑野氏(61歳)が社長(COO)に抜擢、人材育成を分担するという。

ヤマダ電機はバブル崩壊後に店舗の半数が赤字に、そしてリーマンショック後、業績の伸び悩みと、過去何度かの危機を乗り越えてきています。戦略があり中期経営計画を中心に徹底してやり遂げる実行力のある会社だと思います。

1950年代から90年代までは家電メーカーの系列店が結構機能していました。しかし1990年代から2000年代に入るとパソコンや液晶TVが脚光を浴びヤマダ電機、ビックカメラ、エディオン、ヨドバシカメラ、関東のケーズデンキ、コジマ、上新電機など家電量販店が台頭してメーカーの系列店は衰退してしまいました。

ヤマダ電機はローコスト経営で店舗の全国展開をして安く売ることで2000年、年商3500億円前後の企業が家電量販店のトップに、そして2010年には2兆円企業までのし上がってきました(2016年3月期見込み1,8兆円:ベスト電器含む)一方近年の日本の家電メーカーの衰退には目を覆うばかりです。何とか再生してほしいものです。

ヤマダ電機成長の理由の1つはメーカーと対立し、メーカーの支配を打ち破り大量の売上をもってメーカーとの協調関係を築いたこと、2つ目は全国への店舗展開や売り場づくり、教育に優れ、売れる仕掛けが上手だったことが言えるようです。但し他の家電量販店も良く似た戦略のように思います。

しかし近年はリーマンショックに加えパソコンや液晶TVに変わって次代を牽引するヒット商品が出てこないということもあって、ここ数年、家電量販店の伸び悩みの原因になっています。

数年前にヤマダ電機は太陽光発電と住宅を組み合わせたスマートハウスを打ち出しました。先見の明があると思います。しかし業績の柱になるには相当の時間を要します。最近ではアマゾンに代表されるインターネット販売が急速に進んでいます。アメリカではアマゾン・ドット・コムの台頭で数年前には米国家電量販店ナンバー2のサーキットシティーが経営破たんしています。その意味でヤマダ電機の再成長には「M&A戦略」「ネット販売」「店舗改革や人材育成」といった課題に取り組み成果を上げる必要があります。今後も注目していきたいと思います。