イソップの寓話です。世界中を回っている旅人が、ある町のはずれの1本道を歩いていました。
1人の男が道の脇で難しそうな顔をしてレンガを積んでいました。旅人は、その男のそばに立ち止ってたずねました。
「ここでいったい何をしているのですか?」すると男はこう答えました。
「見ればわかるだろう。レンガ積みをしているのさ 朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ」
「なんでこんなことをしなければならないのか、まったくついていないね」
旅人は、その男に「大変ですね」と慰めの言葉を残して、歩き続けました。
もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出合いました。 先ほどの男のように、辛そうに見えなかった。旅人は尋ねた。
「ここでいったい何をしているのですか?」
「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね」
「大変ですね」旅人はいたわりの言葉をかけた。すると意外な言葉が返ってきた。
「なんてことはないよ。この仕事でオレは家族を養っているんだ。この仕事があるからこそ家族全員が
食べていけるのだから。大変だなんて言ったらバチが当たるよ」
旅人は、その男に励ましの言葉を残して歩き続けました。
さらにもう少し歩くと、別の男がいきいきと楽しそうにレンガを積んでいました。
旅人は興味深くたずねました.「ここでいったい何をしているのですか?」
すると、男は目を輝かせてこう答えました。「ああ、オレたちのことかい? オレたちは歴史に残る偉大な大聖堂をつくっているんだ」
旅人は「それは大変ですね」と、いたわりの言葉をかけました。
すると男は、楽しそうにこう返してきました。
「とんでもない、ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだ、素晴らしいことだろう!」
旅人は、その男にお礼の言葉を残して、元気いっぱいに歩きはじめました。
レンガ積みを単なる作業と考えるのか、それとも「多くの人のために役立つ仕事」と考えるのかは心次第で、仕事に対する価値観、働き方が変わります。もちろん仕事のやりがい、さらには生産性や成果も大きく変わります。この話は目的を持つ、目的を教える、目的を分かって仕事をする事や高い視点を持って仕事をする事の大切さを教えてくれています。