NO109 粗利

2023年5月30日

今回は「粗利だけを見ろ」という本を紹介します。著者は経営コンサルタントの中西宏一氏 

幻冬舎から出版されています。タイトルには「儲かる会社が決して曲げないシンプルなルール」とついています。概要は次の通りです。

・会社が陥る「売上中毒」いくら仕事があっても、まったく利益が残らない。利益が出

 ない根本的な原因は、利益率が低い仕事や、最終的に利益がマイナスになる仕事でさ

 えも引き受けているからなのです。「売上さえ増やせば自然と経営が上向く」そんな風

に考えている人がたくさんいるのです。

 ・売上に強く目が向く理由として、売上と利益が比例するという幻想にとらわれているこ

とも挙げられるでしょう。しかし、それには条件があります。まず自社の設備や人員を

見直し、売上増加分の仕事をこなせるかどうかを考えなければならないでしょう。生産

力や施工力には限度があります。たくさん仕事を取り、売上を増やしたとしても、その

仕事を消化できる力がなければ品質が低下します。量も質も維持しようとすれば現場の

労働力が限界になり、社員が疲弊していきます。

 ・仕事を取ってくる営業部門は「売上を増やせ」という表面的な指示だけ受けて動いてい

るケースが多いため「とにかく仕事さえ取れればいい」「仕事を増やせばどうにかなる」

と安易に考えます。私が知る限り、経営不振に陥っている会社の営業は、間違いなくそ

う考えています。

・売上至上主義は一種の病です。業種としては現金の出入りが見えやすい飲食店や小売などは売上至上主義に陥る可能性が比較的小さいように思います。一方建設、製造、卸などは手形を切って商売するケースは、お金との距離が比較的遠くなりがちです。利益管理が軽視されやすく、結果的に売上至上主義という病にかかりやすくなるのだと思います。

・現在30社近い会社の経営改善を同時進行しています。どの会社も順調に経営状況が改善しています。まずは経営者の方は自社が売上至上主義に陥っていないか疑ってみることが大事です

・粗利とは売上総利益(粗利)のことです。製造業や建築業では粗利よりも製造・建築現場で働く人の人件費が製造原価となる業種では「限界利益」で目標を立てる方が有効です。重要なのは粗利を稼ぐことであり、そのための施策を社員に考え出してもらうことです。

・改善の兆しが見えたら報酬を増やす。報酬とやりがいの両面から社員を支えること

・粗利だけを見る姿勢を定例会議で社員に叩き込め。そして粗利確認会議は現状の粗利獲得状況を確認し、期末に向けた施策を考える場。定例会議で粗利を見る習慣を根付かせる。場合によって利益率が低い仕事は断り、高い仕事を増やす戦略に切り替える必要もあるかもしれません。