NO 24 ヤマダ電機の今後を考える

2016年1月28日

 ヤマダ電機のトップ人事の発表がありました(2月19日発表、4月1日付)山田会長の社長再登板から2年半ぶりの新人事です。山田会長が戦略を、一宮副会長兼CEOが中期経営計画を、04年にダイクマ出身でヤマダ電機に入社、人材育成で人事畑を歩み、ここ数年の業績立て直し、接客向上や従業員の効率配置など人事制度改革で手腕を発揮してきた常務の桑野氏(61歳)が社長(COO)に抜擢、人材育成を分担するという。

ヤマダ電機はバブル崩壊後に店舗の半数が赤字に、そしてリーマンショック後、業績の伸び悩みと、過去何度かの危機を乗り越えてきています。戦略があり中期経営計画を中心に徹底してやり遂げる実行力のある会社だと思います。

1950年代から90年代までは家電メーカーの系列店が結構機能していました。しかし1990年代から2000年代に入るとパソコンや液晶TVが脚光を浴びヤマダ電機、ビックカメラ、エディオン、ヨドバシカメラ、関東のケーズデンキ、コジマ、上新電機など家電量販店が台頭してメーカーの系列店は衰退してしまいました。

ヤマダ電機はローコスト経営で店舗の全国展開をして安く売ることで2000年、年商3500億円前後の企業が家電量販店のトップに、そして2010年には2兆円企業までのし上がってきました(2016年3月期見込み1,8兆円:ベスト電器含む)一方近年の日本の家電メーカーの衰退には目を覆うばかりです。何とか再生してほしいものです。

ヤマダ電機成長の理由の1つはメーカーと対立し、メーカーの支配を打ち破り大量の売上をもってメーカーとの協調関係を築いたこと、2つ目は全国への店舗展開や売り場づくり、教育に優れ、売れる仕掛けが上手だったことが言えるようです。但し他の家電量販店も良く似た戦略のように思います。

しかし近年はリーマンショックに加えパソコンや液晶TVに変わって次代を牽引するヒット商品が出てこないということもあって、ここ数年、家電量販店の伸び悩みの原因になっています。

数年前にヤマダ電機は太陽光発電と住宅を組み合わせたスマートハウスを打ち出しました。先見の明があると思います。しかし業績の柱になるには相当の時間を要します。最近ではアマゾンに代表されるインターネット販売が急速に進んでいます。アメリカではアマゾン・ドット・コムの台頭で数年前には米国家電量販店ナンバー2のサーキットシティーが経営破たんしています。その意味でヤマダ電機の再成長には「M&A戦略」「ネット販売」「店舗改革や人材育成」といった課題に取り組み成果を上げる必要があります。今後も注目していきたいと思います。