このタイトルはアメリカ、マクドナルド創業者レイ・クロック(1902~1984年)の自伝につけられた日本語版のタイトルです。プレジデント社刊、アメリカでの本の原題は「Grinding It Out(やり抜く)」です。
読み始めて前半はそうでもなかったのですが、後半へ読み進むにつれてレイ・クロックの事業の創り方、市場の捉え方、人材の発掘の仕方、働きぶりに圧倒されました。経営者はこうあるべきと深く感銘を受けたのです。
レイ・クロックはアメリカ・イリノイ州オークパークに生まれ、高校中退後、ペーパーカップのセールスマン、ピアノマン、マルチミキサーのセールスマンとして働いていました。1954年、52歳の時、マクドナルド兄弟と出会い、マクドナルドの商品、店の効率性、標準化された作業手順に惚れ込み、マクドナルドのフランチャイズ権を獲得、全米にチェーン展開をしていく物語でもあります。そしてマクドナルドは1984年には全世界8000店舗へと拡大しています(2010年時点で世界119カ国に30000店舗に展開)
そしてユニクロの柳井正社長、ソフトバンクの孫正義社長のお2人が「これが僕たちの人生のバイブル」と、この本を推奨しています。巻末にお2人の寄稿や対談が掲載されており啓発を受けます。このお2人が確かにこの本に大きな影響を受けられたこと、また日本マクドナルドの創業者、藤田田さんにも大きな影響を受けたことを知りました。孫さんは高校中退してアメリカ留学から一時帰国した10代の頃、何度も藤田田さんに面談を申し入れ、「これからはコンピュータービジネスの時代だ。オレがお前の年齢だったらコンピューターをやる」「コンピューターを勉強しろ」と激励を受けています。今日のユニクロ、ソフトバンクの発展を見る時、10代、20代の時にこの2人の成功者に大きな影響を受けられていることが分かります。そして奇遇にもお2人とも1994年に株式公開し今日、日本を代表する企業となったのです。
そしてレイ・クロックが残した言葉、成功者の発想法は「be daring(勇気をもって)、be first(誰よりも早く)、be different(人と違ったことをする)」柳井さんはこの言葉は商売の神髄だと自ら手帳に書いて何度も何度も眺めたそうです。またレイ・クロックは「私は細部を重視する。事業の成功を目指すならば、ビジネスにおけるすべての基本を遂行しなくてはならない」また「マクドナルドの基本原則はQSC&V(クオリティー、サービス、清潔感、バリュー」「やり遂げろ、信念と継続だけが全能である」「未熟でいるうちは成長できる、成熟した途端、腐敗が始まる」とも言っています。是非一度読んでみてください。また合わせて藤田田さんの著書「ユダヤの商法」(1972年発刊、絶版、中古本でも7000円~12000円はしますが)も参考になります。