先週、中堅企業の営業管理職を対象に「部下育成」をテーマに研修を行いました(参加者40数名)そこで部下と「同行営業」をどの程度行っているかを聞いてみたところ、意外に少ないことが分かりました。「同行営業」は顧客や市場の動向をつぶさに知る機会であると同時に部下の営業力を観察し実力の程を知る機会でもあります。さらに上司が商談や顧客対応のお手本を見せ、移動中、部下の悩みを聴いたり、アドバイスする絶好の機会でもあります。全体として上司自身も部下育成が十分できているとは思っていないのが実情でした。こうした状況は大半の日本企業の上司がプレイングマネージャ―で目標や担当を持って忙しい上に部下指導まで手が廻っていないことが明らかのようです。このことは産業能率大学が2017年に実施した「第4回上場企業の課長に関する実態調査」でも日本企業の99,2%がプレイングマネージャであることや2018年2月22日の日本経済新聞の「社内で起きている問題」という記事の中で「マネージャー層の不足、能力の不足」と「社員教育の優先順位が低い」というのが上位を占めていることでも部下育成が低調なのがうかがい知れるところでもあります。この問題は会社サイドが業績中心の経営から部下育成にも重点を置き業績向上と部下育成の両方にバランスのとれた経営にシフトすることが必要と思われます。
当日、研修後半のグループ討議で「部下をいかに育てるか!」を討議をしてもらった結果、様々な素晴らしい意見が続出、部下育成の決意が発表されるなど大いに盛り上がりました。その結果参加者の大半が部下育成への熱い思いを共有して終了することができました。よかったです。
具体的には①経営方針や研修を通じてマネージャー層の部下育成に対する意識変革を行い部下育成の環境を整備すること②上司のプレイングマネージャ―としての直接担当業務の負荷を2~3年かけて20~30%減らすこと③その分を部下育成などの業務に振り向けたり、部下に業務移管をするなど「仕事を任せる」ことが大事だと思います
部下育成を進める上で最も大事なことは①部下との信頼関係を構築すること、信頼関係があれば相互に受け入れる土壌が出来、モチベーションが上がるものです②部下には背伸びをしなければいけない仕事の機会を与え、目指すべき方向、姿を示し達成させてやることです③仕事の目標や課題をやり遂げられるように支援し助け合う職場の風土をつくることです④飲み会や面談の場をつくるなどコミュニケーションの場を増やし進捗にあわせて必要なフィードバックを行うことです。人は「存在を認められたり、励まされたり、ほめられるとやる気が出るものです」また部下の成長のステージや能力の伸長に応じて次のレベルの仕事を与えるのが好ましいでしょう(入社2~3年:小さな階段をつくり、自分で乗り越えた実感を積み重ねさせる、成長期:徐々に権限委譲し自己裁量の範囲を広げ仕事に自信を持たせる)いよいよ超高齢化社会、成熟社会が到来します。そんな中でも活力ある日本、活力ある職場をつくるためにも今こそ各企業が次を担う20~30代の若手の人材育成に取り組んでいきたいものです。