NO 17 仕事の原点に触れる

2015年6月26日

 この6月、立命館大学経営大学院のOB会に出席した時、突然同窓の方から「7年ほど前に転職が決まった時に野路井さんに相談に乗ってもらいました、その時の助言をおっしゃるように実践しその後の仕事がうまくいきました、ありがとうございました」と感謝の言葉を頂いたのです。私の方は当時のことをよく覚えていなく、そう言えばそんなことがあったなという感じで「そうですか」と答えるばかりでした。

その方は銀行からよくあるケースだと思いますが50代前半の時に専門商社の管理本部長として、また常務として迎えられた方でした。処遇はかなりいい方だと思います。それでも銀行から民間の会社に移る訳ですから、業種、業界も違い過去の経験が活きるといっても転職して成功するには大変な苦労を要したと思います。

その時、私が助言したことは、ご本人の言葉を借りれば「まず現場の意見を徹底して聞かれたらどうですか」「そこから始めれば仕事は必ずうまくいきます」と言ったようです。

そんなこともあって、その方はその会社に入社以来、徹底して現場の方の意見、要望を聞くことに取り組まれたそうです。何百人もの社員全員と面談されたそうです。凄いことだと思います。

その結果、仕事の面で多くの成果を出され、最近、専務に昇格されたそうです。

この話を聞いた私は、まさに仕事の原点に触れる話しだなと思って感動致しました。

この方はおそらく各現場、各階層の皆さんの意見、要望を聞く中で、会社の実情や課題をつぶさに知ることになり、それらの意見、要望をベースに1つ1つ問題解決に取り組まれ、社内外から高い評価を得られたものと思います。トップの期待に答え、トップの名女房役として見事に手腕を発揮されたものと思われます。

「現場(意見、要望、悩み、実情など)を知る」「お客を知る」ということは企業経営にとって大きなパワーの源泉になるとの確信を得た話です。仕事の原点に触れる話です。単にレポートを読んで知っているのと実際に自分の足で直接得たものと重みが違います。トヨタの3現主義というのがありますが「現場」「現物」「現実」の3つを重視しないと物事の本質を捉えることは出来ないという話に通じます。

もちろんこの方の素晴らしいところは、そうした事を知るだけでなく、「志」をもって「会社を良くしよう」「私に何が出来るか」と自問自答しながら、その会社の実情に合った形で物事を進められたからこそ、高い評価を得られたものと思います。

いいことだからと言って独断専行で取り組んだところでうまくいくわけではなく、時期を考え、期が熟したものから社内のニーズに1つ1つ応えていかれたからこそ、成果も出て、もう一段高いポジションへの昇格となったと思います。大変うれしい話です。