NO19 コンセプト

2015年8月7日

 8月6日(木)のTVカンブリア宮殿で北原病院(脳外科医:北原茂実氏)が紹介されました。自らが患者として入院した体験から患者目線を徹底して、即日検査、高い救急受け入れ率、精神疾患患者に農業体験させ、みるみる病状が回復するなど病院らしくない病院が今注目を集めているようです。

実は番組最後の方で北原先生がカンボジアに新しく病院をつくる話しの後で「病院は産業なんです」と語る場面があります。医療としての考え方が「顧客志向」という点で先端をいっていると思うのと同時に病院を産業と定義したことが素晴らしいと思ったのです。

35年以上前にマーケティングの勉強をし始めた頃に感動したことがあるのです。それはアメリカマーケティング学者(ハーバードビジネススクール名誉教授)のセオドア・レビット氏の「マーケティング発想法」(ダイヤモンド社刊)という本に出合って、T先生(元関西大学講師)からその講義を聞いたことです。その中で事業や製品の「コンセプト(概念、全体を貫く基本的な概念)」についてレビットがさまざまな事例を引いて説明している箇所です。

 ・工具会社はドリルを売っているのではない ネジの穴をあける「便益」を提供しているのだ

    ~顧客はドリルが欲しいのではなく「ネジの穴」が欲しいのだ~

    ・鉄道会社が「鉄道」を事業とするのではなく「輸送事業」と定義すべきだ。

    ・化粧品会社は化粧品を売るのではない 化粧品会社は「希望」を売っているのである

これらの事例は事業の定義、コンセプトを狭い概念で定義してしまうと、人はその範囲でしか考えなくなってしまう。マーケティングの出発点が間違ってしまうというのです。

レビットは顧客志向の視点から事業や製品を正しく定義(コンセプトの設定)すべきだと言ったのです。北原さんが「病院は産業」と言ったことは病院の概念設定が単なる医療施設ではなく顧客志向に立って医師や看護師、患者、患者家族、地域社会、さらに先端の医療機器や建設会社も含め世界に輸出すべき産業と捉えたわけです。凄いことだと思います。北原さんは20年前には病院界で異端児と言われてきたそうですが、最近は日本医師会から講演依頼をいただくようになってきましたと・・・

事業の定義、製品の定義・・・コンセプトがいかに大事かを改めて気づかされた番組でした。