NO21 ウォルマート(1)

2015年10月22日

 ウォルマートは北米アーカンソーに本社を置き米最大の小売企業で売上高58兆円(16年1月期見込、4800億ドル)と国内最大のトヨタ自動車の2倍超、日本の国家予算の1/2に相当し、世界最大のスーパーマーケットチェーンであり売上額で世界最大の企業です。

全米で5000店舗のディスカウントストア及びスーパーストアを有しており、1週間で訪れる来店客数(全世界)は2億人と言われています。既に世界15か国に進出(売上の30%が米国以外)日本では西友を子会社化して展開しています。食料品をはじめ衣料、生活用品、医薬品などの販売、さらに家電量販店的役割を果たしています。

過去名前ぐらいは知っていましたが、この会社に関心を持ち始めたのは転職でTVや家電製品の開発、生産、販売で有名な船井電機に入社した頃からです。船井電機の売上の70~80%は北米で、その内50%以上はウォルマートに販売しています。また生産はタイなど低コストで組み立て世界各国の量販店向けに複数ブランドで供給する事業モデルを強みとしています。船井電機とウォルマートの結びつきは強くウォルマートから何度もサプライヤー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞しています。サプライヤー・オブ・ザ・イヤー賞とは年間取引高1000億円以上、かつ高品質及び魅力ある製品を供給することで同社の業績向上及び顧客満足に多大な貢献をしたサプライヤーに贈呈される栄誉ある年間賞です。

この10月14日に開催されたウォルマートの経営説明会の記事(日経新聞10月16日)を見て注目した箇所があります。それは「ドル高」「賃上げ」「中国をはじめ新興国経済の減速」の影響で通期業績の従来予想1~2%増収予想から横ばいへと下方修正したという報道です。

中でも米国内に約50万人いる時給制従業員の最低賃金を人材確保の視点から時給7・25ドルから10ドルに引き上げ、従業員の教育にも力を入れる方針を発表して取り組んでいる。38%の大幅な賃金引き上げには経営者の覚悟が感じられます。さらに「ウォルマートはグロース(成長)企業だ(マクミロンCEO)」を合言葉に、アマゾンに対抗してネット販売強化への投資、ITを駆使した店舗運営の効率化を急ぎ年率3~4%の増収路線への回帰を目指すという。

「人材確保・人材育成」と「ネット販売強化への投資・IT(情報技術)の活用」の2つがこれからの経営で必須だと再確認しました。次回はウォルマート(2)ということでウォルマートの経営理念に迫りたいと思います。