NO 26 IoTと第4次産業革命

2016年3月16日

 最近、IoT(Internet of Things)とか第4次産業革命という記事をよく目にします。

IoTとは「モノのインターネット」ということでモノがインターネットにつながり、離れた場所でのやりとりができるようになることです。家電や車、機械や装置に至るまであらゆるものがインターネットを介してつながることにより、新たなビジネスモデルの構築が可能になります。AIはコンピューターが人間のように学び、考え、判断する「人工知能の技術」を言います。

第4次産業革命までの流れですが第1次は18世紀後半からの工業化、蒸気機関の発明を契機とした英国の産業革命、第2次は19世紀後半~20世紀初頭の電力活用によるベルトコンベアーによる大量生産、第3次は20世紀後半のコンピューターによる自動制御装置を活用した工場の自動化です。

第4次は21世紀に入って2010年以降インターネット化を皮切りにIoTやロボット、AIなどを製造現場で活用し生産効率を大幅に向上させる取り組みと言われています。

既にドイツ連邦政府が「第4の産業革命」と名付けて官民一体で推進しています。それを「インターネット産業革命」とも「インダストリ―4.0」とも言われ、具体的には「スマート(利口な)工場の実現」とも言われています。そしてIoT時代に必要な人材はものづくりとITをよく知る「デジタル人材」です。

スマート工場はインターネット産業革命の中核となるもので、ネットで結ばれた生産システムです。人間が関与しなくても機械やロボットがネットによって情報を伝達し(FAとITの融合)生産します。

この種のスマートビジネスが最も進んでいるのがグーグルやフェイスブックがある米国です。同国はインターネット利用者の嗜好に関するビックデーターの活用においては世界で最も進んでおり、インターネット利用者が関心のある製品や旅行先の検索をした後、次に見るサイトの片隅にそれに関する広告が自動的に現れたり、そうした製品に関する宣伝メールが送られてきます。これは人工知能がデーターを分析して消費者に商品を勧めるスマートビジネスの一例で、amazonなど日本でも同様のことが起こっています。

またForbes.com contributorsに掲載されていた記事に先ごろ閉幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で発表された「The Future of jobs」(仕事の将来)によるとテクノロジー(第4次産業革命)は今後5年間のうちに世界中のビジネスモデルだけでなく雇用も奪うというのです。(日経BPムック 日経ビジネス特集版”まるわかりインダストリー4,0 第4次産業革命”では今後20年と位置付けています:IoTでモノ作りが激変/15年5月発行)

例として「中国・東莞市にある精密機械工場では総勢650人の従業員のうち90%がロボットに置き換えられ、これにより生産性は向上し、同じ割合で不良品の発生率が低下した。現在60人ほどが勤務しているが仕事はロボットのメンテナンスである。将来20人程度で稼動可能と言われています」

この3月16日の日経産業新聞特集記事に製造業、進化の5条件として「グローバル化」「次世代工場」「デジタル人材」「マス・カスタマイゼーション(顧客の要望に合わせたカスタマイズ品を大量生産品と同等の効率やコストで造る)」「軽量化技術」の5つを上げています。大変な変革の時代が到来します。