NO29 縮小の中の発展

2016年6月2日

   最近P・F・ラッカー著「マネジメント 基本と原則」を改めて読み直していました。そんな折、昼食にお客様とたまに利用する私の自慢のフレンチレストランに行った時のことです。しかしいつもの店内と様子が違うのです。店主にお聞きすると、人が思うように取れないので最近1か月かけて店を改装すると共に座席数を24席から12席に縮小、少人数の従業員で対応出来、料理長をされている店主が厨房から店内が見えるようガラス張りにして、パスを減らしお客様の食事のテンポに合わせて料理を出せるように快適な空間づくりをしましたと。実際、改装前より明るい店内になって、サービスも行き届いており、食事も一段と美味しくなっているように感じたのです。いつも予約でいっぱいの人気のレストランです。

この2年、経営コンサルタントとしてお客様の発展を願って、様々な活動をしてきましたがこういう選択もあるものだと感心したのです。

ドラッカーの「マネジメント 基本と原則」の中に「事業の目標」という項目があります。

・目標の設定において、中心になるのはマーケティングとイノベーションである。なぜなら、顧客が代価を支払う

     のは、この2つの分野における成果と貢献に対してだからである

・マーケティングの目標は1つではない。しかしいずれも、これらの目標は基本的な意志決定の後でなければ設定

    できない それは集中の目標(集中すべき分野、立つ場所)と市場地位の目標である

・企業が業績をあげる上で必要とする3種類の経営資源それぞれについても、目標が必要である。3つの経営資源

    とは土地つまり物的資源、労働つまり人材、資本つまり明日のための資金である。特に良質の人材と資金を引き

     寄せることが出来なければ企業は永続できない

このフレンチレストランは「人が採れない」という経営課題の中でお客様を第一に顧客価値創造をすべく企業の次の発展を考え客席を減らして改装し、3つの経営資源を活かす道を選択、意思決定されたのです。ズルズルと経営課題を引きずって経営をするよりも最適な経営を考え、時には「縮小の中の発展」のため企業永続の道を選択、意志決定するべきなのでしょう。