NO33 アフガニスタンで活躍 中村哲さん

2016年10月2日

 この9月10日NHKの「武器ではなく命の水を 医師中村哲15年の歩み」というTV番組を見て心を揺さぶられました。まさに「意志あるところに道あり」を体現された感動の番組でした。

                                                                   

中村哲さんは1946年福岡生まれ、九州大学医学部卒業 日本の診療所勤務を経て84年にアフガンの隣国パキスタンのペシャワールに赴任、以来、ハンセン病を中心とした貧困層の診療に携わり 86年よりアフガニスタン難民のための医療チームを結成し、山岳無医地区での診療を開始 98年に基地病院PMSを設立、2000年からは診療活動と同時に大旱魃に見舞われたアフガニスタン国内の水源確保のために井戸掘削(1600本の飲料用井戸の建設)を行いました。TVでは03年から始めたアフガニスタン東部ナンガルハール州に流れるクナール川から25キロメートルに及ぶ灌漑用水路を引く難工事を日本の水利技術を研究、福岡県の築後川の江戸時代の「斜め堰」をモデルに中村哲さんの陣頭指揮で進められる様子が放映されたのです。

この工事はアフガニスタンそのものが砂漠地帯にもかかわらず農業国家である事、かつ内戦で国そのものが疲弊しており、パキスタンから帰還した難民が押し寄せるなど危機的状況の中で灌漑用水路を引くことで農業の再生、人の再生に取り組まれたのです。

その結果、3000ヘクタールに及ぶ大地に灌漑が進み、砂漠が青々とした穀倉地帯に変貌し延べ60万人の農民の協力で6年に及んだ大事業が州を国を潤す実りの大地に変わっていくのです。総工費16億円、1日の送水量は30~40万トン 圧巻です

中村哲さんを中心にアフガニスタンで医療、給水、農業などの分野で長期にわたり活動しているのがPMS(ピースジャパンメディカルサービス)です。そして日本のNGO「ぺシャワール会」が支援するアフガニスタンの現地NGOがPMSなのです。中村哲さんはPMSの総院長でぺシャワール会の現地代表でもあるのです。このPMSの灌漑事業は、もともと医療支援から活動を始めた中村医師の「安全な水と食料は、100万本のワクチンに勝る、病気は後でも治せるが、水がなければ人は飢え死にしてしまう」という思いから始まったそうです。JICAもアフガニスタンの農業と農村開発に支援をしています。9月30日の日経新聞「私見卓見」というコラムに駐日アフガニスタン大使が「日本は多くの開発援助をしてくれた、中でも国家の行政官の人材育成支援に多くの貢献をしてくれている」と賛辞を送ってくれています。私もこの番組を通じて中村哲さんの活動を知り平和ボケを排し「自分に何が出来るか!」を自問自答し今後の人生の糧にしたいと思います。