NO37 労働生産性が低い日本

2017年1月17日

 

この1月、日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2016年版」によると2015年のOECDデーターに基づく日本の労働生産性水準(就業1時間当たり)は42,1ドル(4439円)でOECD加盟35カ国中20位であったそうです。(生産性新聞:2017年1月15日号参照)

前々から気になっていたことですがGDPでは日本は世界第3位(1位米国、2位中国)でありながら、労働生産性ではこれほど低い事に経営者や働く人も問題意識を持たなければいけないのではないかと思っています。

・労働生産性とは稼いだ付加価値を1人当たり/1時間当たりで割ったもの

・日本の順位は1990年代から20位前後で推移(1時間当たり)

・主要先進7カ国でみると

      <時間当たり労働生産性>     <1人当たり年間労働生産性>

    5位の米国(68,3ドル・7189円)  12万1187ドル(1276万円)

    6位のフランス(68,6ドル・6908円)

    7位のドイツ(65,5ドル・6898円)

 20位の日本(42,1ドル・4439円)    7万4315ドル(783万円)

・7位のドイツの年間平均労働時間は1371時間(2015年)と欧州諸国の中でも短い部類にあり、

 多くの付加価値を効率的に生み出しています。

・日本の年間平均労働時間は1719時間(2015年)でドイツより348時間(月間29時間に相当)は長い

 のです。よってドイツの労働時間は日本より25%少ないにもかかわらず時間当たり労働生産性では50%高い水

 準(1,5倍の格差)の付加価値を稼ぎ出しています。

労働生産性を上げるためには分母の従業員数を減らすか分子の付加価値を引き上げるしかありません。従来日本では長時間働くことを美徳としてきた嫌いがありますがこれからは労働時間を短くして付加価値を向上させる道を歩まなければなりません。

私も今回労働生産性について欧米と比較してみて余りの低さに驚きました。欧米では定時で帰るというのが当たり前です。労働時間を短くして生産性を上げるには①「定時内の生産性を最大にする」「ムダなことはしない」という経営幹部、社員の意識改革②製品ラインの統廃合、付加価値の高い製品開発・投入、生産性向上につながるモノづくり改革③ITを駆使するなどホワイトカラーの生産性向上等が不可欠です。従来から慣習で行ってきた業務を見直し、会議時間の短縮などムダを省き本来やるべき事に集中すべきです。過去2社で生産性向上に取り組んできた経験から一定の投資は必要ですが3年あれば生産性を10~20%程度向上させることは十分可能です。是非とも10年くらいでドイツ並みの労働生産性を達成したいものです。