NO42 ヤマトとセブンイレブン(1)

2017年6月30日

 戦後日本の経済発展の中でもひときわ大きなイノベーションを起こし、新しいビジネスモデルを作ったのはヤマト運輸とセブンイレブンの2社だと思います。もちろん携帯電話やスマートフォンの登場で近年世の中が大きく変わったというのもありますが・・・。さらに日本のロボット、生命科学は世界の先頭を走っています。自動車も電機以上に世界に冠たる地位を築いています。すべてイノベーションの結果です。本論に話しを戻しますが1つはヤマトが宅急便という市場を形成、もう1つはセブンイレブンがコンビニエンスストア―という小売りの業態を生みだしました。35年ほど前にマーケティングの勉強を始めた頃はこの2社の事例学習が盛んでした。この2社に大変刺激を受け感動しました。経営には顧客の「便利」「満足」「感動」の追求が無ければいけない、そして生き残るためには「イノベーション」を起こし続けなければならないと・・・経営にはこの2つが大事です。

宅急便のコンセプトは「戸口集荷」「翌日配達」「地帯均一料金」というものでした。今も開発当初のコンセプトが活きていますし、当時の小倉昌男社長の「サービスが先・利益は後」「顧客第一」「全員経営」という理念も生きています。先見の明がありました。宅急便誕生以前は小口荷物を送る手段が極めて限定され不便でした。当時運輸業界では「小口荷物は集荷・配達に手間がかかり採算が合わない。小さな荷物を運ぶより大口の荷物を運ぶ方が合理的で得」という常識でした。しかし小倉は「小口の方が1㎏当たりの単価は高い、小口貨物をたくさん扱えば収入が多くなる」と小口荷物に着目して事業を特化、需要を創造したのです。もともとは百貨店三越の専属運輸会社だったのです。それをやめて宅急便に賭けたのです。

宅急便がスタートしたのは1976年ですから、約40年の歴史です。私が40年前、新婚旅行で沖縄に行った折、美味しかったオリオンビール中瓶1ダースを郵送しようとしましたが酒屋で断られ、手で下げて持ち帰ったことがあります。それほど当時は郵便局でしか小口配送の仕組みがなく、しかも6キロ未満の重量制限でした。今から見ればゴルフ宅急便、クール宅急便、国際宅急便など隔世の感があります。それはヤマト宅急便に3つのコンセプトと共に「サービスが先」「顧客第一」「全員経営」という経営理念があったからです。現場の声、お客様の声を事業に反映し続けたのです。 今では25㎏までOKです。

今や宅配便(宅急便はヤマト運輸の個別名称)の年間取扱個数は36億個と言われています(2014年実績)トップがヤマト運輸46%、佐川急便が34%、日本郵便が12%と3社で90%を占有しています。総需要としては3兆円くらいでしょう(ヤマト運輸の売上規模は1兆4000億円、従業員195000人)