NO 46 不正を考える

2017年10月27日

最近、大手企業の不正が相次いで発覚して驚いています。

1つ目は日産自動車の資格を持たない従業員が完成検査に従事していたという事案。9月29日に公表、そして10月20日まで国内向け車両の出荷を停止。その結果国内販売が前年同月比20%減となっています。2015年3月東洋ゴム工業で建物の免震ゴムの性能データー偽装、2016年4月三菱自動車で燃費データー不正が発覚したばかりのことです。またスバルでも本年10月26日無資格検査を行っていたことを公表しています。

2つ目は昨年6月に発覚した神戸製鋼、ステンレス鋼、線の強度偽装を受けアルミ、銅事業部門でも今年8月に自主点検が行われましたが、同部門でも製品データー改ざんが常態化されていたことが判明、経営陣に報告され、改めて全社を対象に不正を総ざらいする「緊急監査」に乗り出しました。(日本工業規格JISの基準を外れた製品の出荷した疑い)しかしアルミ・銅製品の生産拠点の1つ、長府製造所(山口県下関市)の管理職を含む従業員らは改ざん前の本当のデーターを提出せず自主検査と緊急監査をすり抜けたことが判明。他にも山口県押出工場、子会社の神奈川県秦野工場でも同様のことが起こっていました。

この事態に経産省は「事実の信頼性を根本から損なう」と指摘、チェック機能も働かない事態に外部識者だけからなる調査委員会が立ち上げられています。神戸製鋼所のトップはそのたびに謝罪会見を開き「申し訳ない以外の言葉がない」と謝罪と釈明を繰り返しています。また10月27日の日経新聞で「神鋼、JIS認証取り消し、10年で3度目の不正」という記事が掲載、『ずさんな管理体制への批判は免れない「日本ブランド」に傷つけた』と論評、また朝日新聞では「こうした事態は企業の体質か、企業風土か、意識の問題か」という問いかけをしています。根の深い話です。

3つ目は政府系金融機関である商工中金の不正融資問題です。不正融資発覚の発端は商工中金鹿児島支店次長の疑問から「危機対応融資(地震や台風などの災害、金融危機などで業績が悪化した中小企業を低利で支援する制度)」の稟議書の添付資料に改ざんをしたかを問うたところ、担当者から要件を満たすために売上高などを改ざんして減らしたことが判明、これを受けて全店調査、さらには第三者委員会による実態調査を行いました。10月26、27日の日経新聞で「ほぼ全店で444人、4609口座の不正があり約800人が処分、社長が辞任表明、後任は民間から起用、経産省2度目の改善命令」「不正を見逃した企業統治の欠如などから経営責任は重大」と報道しています。

以上の3件の不正報道を見ると、いずれも「現場任せ」「コンプライアンス(法令遵守)」「コーポレートガバナンス(企業統治)」が効いていないことを実感します。一方現場では不正と分かりながら目標達成や顧客との納期約束など「組織の論理」で改ざんを繰り返していたことが分かります。しかし「強い現場」は必要ですが「コンプライアンス」「ガバナンス」が優先されなければ不正は繰り返され社会・顧客の信頼を失います。もう一度信頼を取り戻し2度と「不正を起こさせない現場づくり」「コンプライアンス」「コーポレートガバナンス」を徹底していきたいものです。