NO48 キャノン復活の兆し

2018年1月23日

 キャノンは1980年代から注目している日本を代表する時価総額5兆円、20万人の世界企業です。キャノンの企業理念は「共生」世界で親しまれ尊敬されるグローバル優良企業(主要経営指標で世界トップ100社)を目指しています。そしてキャノンのDNAは「人間尊重」「技術優先」「進取の精神」の3つであり「全体最適」「利益重視」の意識改革により「健全な拡大」を目指しており「三自の精神:自発、自治、自覚」が基本にあります。

特に1995年に社長に就任された御手洗富士夫社長(現会長、CEO)の陣頭指揮のもと2008年のリーマンショック後業績低迷の時期を経て今復活の兆しが見えるようになってきました。こんなうれしいことはありません。

「どん底に落ちて『なにくそっ』と思って耐え忍んで本当に苦労して苦労した。それでも一生懸命成長力のある企業を探して買うことができた。4つの新規事業がそろい成長が見込める状況になった」と御手洗会長の言葉です(日経産業新聞2018、1、17、18,19日号)なにくそ10年の歳月を耐えて4つの新規事業を得られたのです。

この間1兆円を投じて新しい事業を買収、今後は医療機器を大黒柱に新規事業で1,5兆円の売り上げ増、純利益10%を目指し野心的な挑戦が始まります。

 ・16年に6655億円で東芝メディカルを買収 画像技術を活用した新製品を投入(医療機器)

 ・15年に監視カメラ世界首位のアクシス(スウェーデン)を買収(ネットワークカメラ)

 ・1000億円で買収したオランダのオセ社と協力(商業印刷)

 ・キャノントッキが手掛ける有機ELパネル製造装置の受注が急増(産業機器)

もともとキャノンは事務機とカメラで首位を走る世界優良企業でした。業績は次のとおりです。しかし事務機とカメラだけでは業績を上げ続けることは出来

ません。2007年の最高業績からリーマンショックの影響もあり9年間業績不振が続いていました。新規事業のM&Aは必要だったのです。

・1995年連結売上2兆858億円、営業利益1494億円

・2007年連結売上4兆4813億円、営業利益7566億円

・2016年連結売上3兆4001億円、営業利益2289億円

・2017年連結売上4兆4813億円、営業利益7566億円

新規事業は企業の戦略方向と合致し且つ競争力があり成長余地が大きいことが大事です。ともすれば買収相手の過去の成功や成長の軌跡から過大に評価を

して失敗をすることが多いのですがキャノンは粘り強く、買収相手を見極め4つの新規事業を射止めたのです。

私は新規事業で失敗の経験がありますので、じっくりと構え成功が見込めるキャノンのM&Aのケースには共感を覚えます。復活を確信しています。