NO55 意識改革

2018年10月22日

戦前、戦後に設立され、70~100年の長い歴史を持つ老舗企業が陥りやすいのが「業績低迷」と「重苦しい社内の空気、諦め感」ではないでしょうか。最近ある企業様のこうした状況を打破すべく社内改革に取り組まれた模様を知り、このテーマを取り上げました。

その企業様は年商60億円社員90名、戦後まもなく電気、ガス、水道の計測器の修理から業を起こし、その後電気工事業を経て計測機器や産業機器等総合エンジニヤリング商社として発展、しかし近年は業績がやや停滞、2年前新しい社長にバトンタッチされたものの優秀な社員の退職などもあり、何を言っても会社は変わらないという諦め感が漂うような重苦しい社内の空気だったようです。そんなこともあり新社長が取り組まれたのは次の3つでした。

 1 最新の会計システムの導入と販売管理システムとの連動で月次決算による経営数字や部門の業績の見える化を進め、経営判断がし易くなった。

 2 部門別、階層別研修会の実施と飲み会の実施です。また女子社員とも意見を聴く場を設け、様々な機会を通して社長みずから社員の意見要望を

   聴くことにしたそうです。また大勢の社員の場ではしゃべりにくいこともあるだろうと社内に「目安箱」を設置、そうすると「住宅手当」

   「分煙」「パワハラ」「給与体系」「評価制度」など様々な意見が寄せられたそうです。それらを社長の陣頭指揮のもと1つ1つ丹念に

   解消に取り組まれたそうです。特に「給与体系」「評価制度」については社内に不公平感、不透明感が漂っていたそうです。また女子社員の

   意見は貴重だったそうです。

 3 社員が共有できる経営理念の策定に取り組む

   やはり単なる「標語」のようなものではなく社内外から支持共感を頂ける内容の伴なった経営理念の策定に取り組まれています。社会に対し

   どういう事業をどういう精神、姿勢(心持で)でもって取り組むのか、また社員に対してどういう企業を目指すのかを明示出来ています。

   やはり企業理念は社会、顧客、取引先に対して、また社員に対して説得力のあるものでなければなりません。トップを中心によく議論され簡

   潔明瞭な言葉て作られています。

そうした取り組みの結果、社内の空気も変わり業績も回復、更なる改革に取り組まれているようです。最近静岡県にあるスルガ銀行の不適切融資と過度のノルマで世間を騒がせていますが、一番の問題は役員、トップ層が経営数字だけを見て経営を行っており現場を知らなすぎることだと思います。現場の暴走です。やはりトップが率先垂範で現場社員とのコミュニケーションを行い、声を聞き「変わろう、変えていこう」の旗を振り続けて社内を明るく伸び伸びと働ける風土にしていかなければ企業の発展はありません。久しぶりに気持ちのいい会社に出合いました。新社長の目のつけ方、手腕に拍手を送ります。