このフレーズは営業の第一線にいる時に叩き込まれた言葉です。実際この20数年、日本のGDPが500兆円前後を低迷、多くの業界で売上が伸びない現実があります。そうした多くの業界、企業を考察すると次の事が言えます。
1 需要全体が伸びず顧客も同じ、販売商品、商圏、販売方法が変わらなければ当然売上は伸びない
2 一方、市場が成長期にあれば「同じお客、同じ商品、同じ方法で売って」いても売上は伸びる
3 売上は市場(market)のニーズに提供する商品(product)が適合すれば売上は伸びる。但しいくら優れ
た商品でも「売れる仕組み」がなければ売れない。そしてどの業界でもナンバーワン主義が広がっている
4 近年「デルモデル」や「アマゾンモデル」のように顧客とダイレクトな関係を築いて商品を供給する新潮
流ビジネスが台頭している。宅急便の進化で通販が伸び、コンビニは便利をキーワードに新しい顧客層に
新しい提案で高収益を上げている。ネットスーパーも広がっている。最近ではアスクルに続いて工具通販
モノタロウが業績を伸ばしている。安く早くを優先する顧客が増え今後益々ダイレクトビジネスが伸びる
5 ビジネスは「顧客に支持される魅力ある商品・サービス」がなければ市場形成はない。その上でデルやア
マゾンなど他を圧倒する供給システムが既存の業態、企業、店舗を押さえて伸びている。当然押される方
は売上が低下する。業績を伸ばす基本は「魅力ある商品・サービス」と「売れる仕組み」に変わりはない
が市場変化に対応して「売れる仕組み」の見直しが必要になる。BtoBビジネスではメーカーと商社、商
社と顧客との「相互信頼」が長い取引関係を築く。しかし商社は対応型だけでは顧客と密接強固な関係が
広がらない。一味違う顧客サービス、積極的なソリューション提案、新潮流ビジネスの部分取り込みが必要になる
6 業界全体が低迷する中でも伸びている企業がある。それら企業に共通する特徴が4つあるように思う
① 市場・業界・技術動向、顧客変化に敏感で今後の戦略を先読みして先手を打って改革に取り組んでいる
② 顧客にとって魅力的で優れた商品・サービスの開発、技術開発、モノづくり、生産性向上に熱心である
③ 経営理念、経営方針が社内に徹底されていて社員が誇りをもって顧客視点で自律的に仕事をしている。
そして「人を活かす仕組み」「やり抜く企業文化・風土」がある
④ 販売展開(海外進出)サプライチェーンの最適化に業界横並びでなく新しい取り組みに慎重かつ積極的
で、その取組みが同業他社に比べて早く抜きん出たものがある。それが顧客から支持されている
もちろん今回のベネッセのような不祥事を起こさないコンプライアンス、リスクマネジメント等「企業統治(ガバナンス)」や「管理力」も必要なことは言うまでもありません。グローバルな競争激化の時代「戦略優位」と「優れたオペレーション」の2つが市場地位を塗り替えます。そしてすべての出発点は「志」「目的達成に対する意識の高さ」であり、現状に甘んじる内向き志向ではなく「適度な危機感」と「顧客志向」「戦略優位」であり、新しいことに一歩踏み出す「勇気」であるように思います。次の企業発展に想いを馳せ目の前の変化・改革・進歩に勇気をもって取り組んでいきたいものです。