世界最大の小売企業、全米に4700店舗を持つ売上高56兆円を誇る米ウォールマートが時代を席巻するアマゾンに対して反転攻勢を強め業績をあげて
います。日経ビジネスで特集(2020、1,20号)ウォールマートは日本のスーパーの他ホームセンター、衣料、家具、家電量販店の役割を担ってお
り、「エブリーデイ・ロー・プライス(毎日低価格)」を実現してきたからこそ小売りの巨人になったのです。そしてアマゾンの脅威から近年はIT・EC
への投資(全投資の68%)を拡大し業績低下の懸念を払拭したのです。
・店の店員がカートを押して棚から商品を次々とかごに入れている。これはウォールマートのEC(電子商取引)事業を牽引している「オンライン・
グローサリー(食料雑貨)・ピックアップ(OGP)」の作業です。OGPはネットで食料品等を注文して店で受け取る、取り置きサービス。客はあら
かじめ専用アプリ内で牛乳や野菜を選んで会計し、取りに行く店と時間帯を選択する。指定した時間に合わせ来店し、ピックアップ専用の駐車スペ
ースに止めると従業員がトランクまで持ってきてくれる仕組みだ。ウォールマートの経営幹部は「店舗を配送とピックアップの拠点と考えれば店
舗はデジタル体験を拡張し、我々の次の10年を守る存在だ」という。
・米国3都市で始めた「インホーム・デリバリー」サービス。顧客宅に上がり冷蔵庫に食品を置いていく先進的なサービス。高齢者の親に代わって
子供が注文。ECで入った注文に沿って、近くの店舗で商品を集めカメラを身に付けた従業員が配達にに向かう。アマゾンが17年から始めた玄関
の中に荷物を置いていく「キー・バイ・アマゾン」に対抗して19年から始めている。年98ドルで無制限配達を実施
・デジタルシフト成功の背景に4つの要因
- 人材獲得:ECサイトの運営会社を次々と買収、エンジニアを獲得 オムニチャンネル化(複数販売チャンネルを活用、実店舗とネットの境界を融解 連携し多様な販売機会を創出)という小売りの潮流の変わり目を担う
- 働き方の変革:人を増やさずロボットを活用 15分毎に自走式ロボットが巡回、棚の欠品情報をサーバーに送る、従業員の端末に表示され、それに従って補充等をする。
- アジャイル思考:従業員が知りたいことを何でもスマートフォンに向かって話しかけると答えてくれる店舗運営で必要な質問アプリ、アジャイルとはすばやいという意味
- トライ&エラー:ウォールマートは様々な面でトライ&エラーを繰り返している。新たな顧客向け新サービスや従業員向けツールを導入する際には「まず5店舗くらいから始め広げていく、失敗の可能性が高いものはやめる」
ウォールマートはトップの旗振りでデジタルシフトを鮮明にし実店舗とIT・EC活用で成功しつつあります。