NO97 働きがい向上Ⅱ

2022年5月15日

 政府が2016年に働き方改革を打ち出して以降、日本企業の長時間労働の是正(労働者1人当たりの年間総労働時間は20年1685時間と16年比5,5%減)有給休暇取得率の改善(7,2ポイントの改善で56,6%と過去最高)が見られましたが働きがいの面ではまだまだ改善がみられていないというのです。(日本経済新聞2022年5月1日記事)

社員が会社を信頼し貢献したいと考えることをエンゲージメント(組織に対する愛着心を指し、一般的に「愛社精神」とほとんど同様の意味として使われています)と言います。

米人事コンサル大手のコーン・フェリー社がグローバル企業610社580万人を相手に20~21年に実施したエンゲージメント調査によれば、働きがいを感じる社員の割合は日本が56%、世界平均を10ポイント下回るようです。23か国中、最下位が過去6年続いています。

背景には、日本企業の組織運営の改革遅れがあるとみる専門家は多いようです。コーン・フェリー日本法人の岡部雅仁氏は「上位下達の組織風土や年功序列によるポスト停滞など、旧来型の日本型経営が社員の働きがい低迷に影響している」と分析されています。「個人の創意工夫の範囲が狭まったり、現場に権限移譲が進んでいなかったりするのも要因」(リンクアンドモチベーション)との指摘です。

社員の働きがいは企業業績にも影響します。パーソル総研と慶応大学の前野隆司教授の

19~20年調査によりますと働くことを通じて幸せを感じる社員の多い企業で売り上げが伸びたのは34%、幸せを感じる社員が少ない企業で売り上げが伸びた企業の割合の25%を上回る結果が出ています。社員の自主性や創意工夫、権限移譲を進め「社員の働きがい向上」を図ってください。会社に活力が生まれてきます。