国連のアントニオ・グテレス事務総長は6月28日、日本経済新聞に寄稿し「化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を急ぐよう訴えま
した。その要旨をお伝えします(日本経済新聞2022年6月29日号12面,NO92気候危機参照)
・古代ローマのネロは、ローマが燃えている最中にバイオリンを奏でていたと非難された。今日、一部の指導者はさらに悪い対応をして
いる。ロシアのウクライナ侵攻の影響が世界に波及するなか、一部の国々はエネルギー危機に対処しようと化石燃料で「賭け」に出て
気候変動を深刻化させる石炭や石油、ガスにさらに何十億ドルもつぎ込んでいる。
・化石燃料は気候危機を招く。再生可能エネルギーは気候変動を抑え、エネルギー安全保障を強化するための答えだ。
・再生可能エネを促進するための5項目の計画を提案した 第1に再生可能エネルギー技術を世界的な公共財にする 第2に再生可能エネ
技術に関する部品や原材料のサプライチェーンへのアクセスを改善 第3に太陽光や風力発電事業を遅らせている煩雑な手続きをなくす
第4に世界はエネルギーへの補助金を化石燃料からシフトさせ持続可能な未来に投資 第5に再生可能エネルギーへの投資を3倍にする
必要がある
・世界の気温上昇を1,5度に抑えるには30年までに温暖化ガスの排出量を減らし今世紀半ばまでに排出量を実質ゼロにしなければなら
ない。だが各国の削減目標を足し合わせても10年間に14%近く増加する。これは破滅を意味する。再生可能エネルギーによる革命を
拒む言い訳にできない。再生可能エネルギーへの投資は化石燃料の3倍もの雇用を生み出す。食料安保と経済安保にも寄与する。未来が
燃えているのにバイオリンを奏でるようなことは止めなければならない。