現実の経営において業績が毎期好調という企業はそう多くはありません。この半年、30社ほどのお客様訪問をしましたが「やっとリーマンショックの前に戻った」「しかしピーク時の売上時に比べると、そこまではいっていない」というのが大半です。日本の70%の企業は赤字です。収益にしても10年前に比べて「業績が着実に伸びているか?」と言われれば、そうでない企業が90%を超えているのが現実です。しかし、そんな中で着実に業績を伸ばされているお客様が3社ありました。特徴は「新しい商材を増やし攻めの提案営業」「品質納期で絶大な信頼/海外顧客から支持」「アマゾン並の物流システム」などです
「業績低迷」「現状維持」が日本の現実なのです。もちろん住宅関連、自動車関連、太陽光などエネルギー関連、福祉や医療関連、公共投資関連などこの1年、勢いのある分野もありますが日本全体でみれば決して良くないのが実態です。こうした現実を突破するのは「顧客価値創造経営」だと思います。
どの業界も総需要が減っています。総需要が減れば競争が激化します。その中で従来の商品・販売方法で商売しているところは売上が減ります。最近驚いた新聞記事にローソンが2015年コンビニにケアマネを配置するなどして介護支援に乗り出すというのです(日経、8月16日)。こうしたことは今に始まったことではありませんが身近なところで凄まじい勢いで変化と競争、新規参入が起こっています。従来守られていた秩序が音を立てて崩れています。生産財の分野でも表面だけではわかりませんが底流では上位1~3位間競争、強者と弱者のすさまじい戦いが続いています。
こうした現実を突破するのは「顧客価値創造経営」が必要だと思います。顧客価値創造経営とは一言でいえば「お客さにとって価値ある商品・サービスを開発し提供し続ける経営」と言えます。
有名な戦略的経営システムである「バランス・スコアカード」に従えば
1 財務の視点「利益創出」「業績向上」には顧客の視点で「顧客の満足」「顧客を創造」することであり
2 それには業務プロセスの視点である「顧客価値創造(競争に勝ち残れる独自の強みの発揮:競合との差別化・
仕組みの構築・トータルリード タイムの短縮)」によって達成できる
3 そのためには社員の学習と成長の視点「意識改革と共感・実行」「改革・チャレンジングな自律創造人材の
育成」が必須という流れになります。
この一連の流れを正しく評価尺度を用いて経営を革新し「顧客創造」「利益創出」に結びつける経営システムが
バランス・スコアカードです。そして最も中心になるのが「顧客価値創造」です。
カンブリア宮殿で紹介される成功企業に共通するのは明快な理念やビジョンを持ち「人材育成に熱心」「イキイキとした職場作り」を実現していることです。そしてもう一つは売ることに熱心という従来の構図を突き抜けて絶えざる顧客ニーズの汲み取りに熱心であり、そのニーズを先取りすべく経営が社員と一体になってお客様にとって良い商品・良いサービスを追求し続け、そのプロセス・提供を丹念に実行し成果を上げている事です。
この一連の経営のことを「顧客価値創造経営」と考えています。