NO108 人的資本経営

2023年4月14日

 今、人的資本経営について関心が高まっています。人材こそが企業の将来を左右することは間違いないでしょう。人材版伊藤レポートでは、「3P・5F モデル」が提唱されています。このなかの「3P」とは3つの視点(Perspectives)のことです。

1経営戦略と連動した人材戦略:経営戦略と連動していることが重要となります。そのため、策定した経営戦略を実現するにあたってどのような人材が求められるのかを定義し、経営戦略とのつながりを意識しながら、自社に適した採用や育成、配置といった人材戦略を練る必要があります。2目標と現状のギャップの把握:策定した経営戦略を実現するにあたってどのような人材が求められるのかを定義し、経営戦略とのつながりを意識しながら、自社に適した採用や育成、配置といった人材戦略を練る必要があります。3 企業文化として定着させる:企業理念や企業の存在意義(パーパス)、持続的な企業価値の向上につながる企業文化を定義し、定着させることが重要です。まずは社員一人ひとりに対して企業文化を意識付けるためにも、経営トップ自らが粘り強く経営理念やパーパスを発信する必要があります。次に「人的資本経営に求められる5つの要素(Factors)

1 動的な人材ポートフォリオ:人材ポートフォリオとは、どのようなスキル・経験をもった人材が、どの部署にどの程度在籍しているのか、人材の構成内容として示したものです。人材ポートフォリオを整備し、活用や適時最適化を図ることで現状において自社で働く社員の状況を正確に把握できると同時に適材適所の人材戦略を実現しやすくなります。2 知・経験のダイバーシティ&クルージョン:多様な経験や感性、価値観、専門性をもった人材を受け入れ、人的資本として経営に活かしていくことが求められます。また、多様な知見をかけ合わせることでイノベーションが生まれ、これまでになかった革新的な事業のヒントになることもあります。3 リスキリ・学び直し:新たなスキルや知識を身につけることをリスキルや学び直しとよびますが、企業は社員が自らのキャリアを見据え、学び直しに取り組むことができるよう、自律的なキャリア構築を支援することが求められます。リスキルや学び直しの習慣が社員一人ひとりに身につくことで、ビジネス環境や経営環境が変化し続けるなかでも柔軟に対応していけるようになるでしょう。4 従業員のエンゲージメント:従業員エンゲージメントとは、企業や組織に対する愛着心や思い入れ、自社に貢献したいという意欲などを意味します。従業員エンゲージメントを向上させるためには、企業や組織の目標と社員個人の成長のベクトルを一致させることが重要です。そのためには、経営層から社員に向けて積極的に発信・対話することはもちろんですが、柔軟な就業環境の整備、多様なキャリアパスなどを準備したりすることも有効といえるでしょう。5 時間や場所にとらわれないはたらき方:たとえば、リモートワークやフレックスタイム制、時短勤務制度などを整備することで、時間や場所にとらわれない働き方が実現できます。