2021年

NO83 営業力強化

2021年3月2日 火曜日

 先日、ある製造業のお客様に訪問した折、幹部の方から営業の強化策について話が及び「どうしたらいいですかね?」と投げかけられたこともあり今回は私の考える営業の強化策を考えてみます。大事なことは「現状把握」と「どのようなレベルにしたいのか(目標)」を明らかにすることから始めることです。

その前に3月1日付日本経済新聞夕刊1面「明日への課題」という欄に伊藤忠商事の岡藤会長が「ファーウェイに学ぶこと」と題して以下の記事が書かれていましたので紹介します(抜粋)

 ・松下幸之助さんの「水道哲学」があるが消費者の声に耳を傾けて望まれる商品をどんどん提供していくことは商売の基本中の基本だ。

 ・近年の日本企業は、この基本を忘れてはいまいか。大切なのはお客さんである。その声に耳を傾ける「マーケットイン」の発想を、

  日本企業は失っていないか。

 ・参考にしたいのが中国の華為技術(ファーウェイ)だ。その経営戦略に注目している。一昔前は「製品は三流、販売は二流」と

  言われたそうだが、当時から「サービスは一流」だったという。ここに成功の秘訣がある。

・聞けば創業者の任正非さんは日本企業の小型技術や品質管理を徹底的に研究したという。それだけではなく、アフターサービスを

 徹底させて顧客の要望を採り入れ、三流と言われた製品をどんどん進化させた。これをマネと言うか、マーケットインの発想と捉

 えるか。新興企業と侮るなかれ。学ぶことは多いはずだ。

私が考える営業の強化策は

 第1に営業関係者及び顧客、経営サイドからの意見などをもとに「現状把握」「あるべき姿」「目標」を作る

 第2にあるべき姿なり目標を達成するための具体策や大筋の手順を明確にし全員で共有する

 第3に教育訓練の場を設け社員同士の討議も加え営業全体のレベルアップ、人材育成を強化する

 第4に人材が育つのは現場です。 良い上司と存分に働く場所があれば成果を出し適度の刺激によって人は育つものです。

        もちろん人が育ち、各人がやる気になる人事諸制度の整備は必須です。

 第5に顧客及び職場内での信頼関係、全社、関係部門との信頼関係を良好なものにする

 第6にそれぞれ現場サイドから具体策を上げてもらい実行し目標達成を図る

 第7にSFA (Sales Force Automation:セールス・フォース・オートメ―ション)の略 で営業支援システム、CRM

  (Customer Relationship Management:カスタマーリレイションシップ・マネジメント)の略で顧客管理システムです。

  「引合い管理」「顧客管理」「セールス行動管理」の3つのシステムを導入して合理的、科学的な営業を行う

 第8に営業部門にカスタマーセンターを設置、お客さまの意見、提案、苦情、問い合わせをダイレクトに受け付け処理する

  機能を強化する、情報重視、顧客や市場の情報を活かせるかが大事。但し装置産業の場合はアフターサービス部門の設置は必須です。「サービスが一流」に

  なれば、いずれ市場地位も格段に上がってきます。

NO7,8を行うことによって格段に営業強化、顧客満足度向上、業績向上が出来ます。マーケティング、営業力強化と言ってもそれぞれの分野でナンバーワン、オンリーワンを目指すことです。あとはやり遂げる熱意です。

NO 82 ソニーとパナソニック

2021年1月30日 土曜日

 新型コロナウイルス禍に明け暮れた2020年は多くの企業の明暗を分けましたが、日本における代表例

が20世紀の家電の両雄、ソニーとパナソニックです。(参照記事:日本経済新聞2020,12,30・31日から)

「明」のソニーは業績好調。コロナ禍による「巣ごもり消費」が追い風になってゲームや音楽などが成長し

21年3月期の売上8兆5000億円、最終利益は前期比37%増の8千億円を見込んでいます。

一方「暗」のパナソニックは長引く低迷から抜け出せていません。21年3月期の売上6兆5000億円、

最終利益は前期比56%減の1千億円とも予想されています。

コロナ禍で鮮明になった両者の明暗。その要因は事業構成のトランスフォーメーション(転換・変換)を

着実に進めたソニーに対してパナソニックは事業モデルの刷新に立ち遅れたと言われています。

5年前までエレクトロニクス産業を論じる際に「スマイルカーブ」の例えがよく使われました。

両端が上がり真ん中の下がったスマイルカーブと同じく、電機産業のサプライチェーンにおいて

川上の部品や素材、川下のメンテナンスやサービスの収益性は高いが中間の組

み立て、製造プロセスはコモディティー化が進み、あまり儲からないという指摘です。

この構図に沿ってソニーのポートフォリオを分析

すると、「かって主力だったテレビやビデオといった組み立て型事業の比率が下がり、逆にゲームや

音楽、映画などのサービス系とイメージセンサーの部品ビジネスの構成比が高まっています。過去四半世紀に

わたって絶え間なく事業の取捨選択を進め、スマイルカーブの両端のビジネスに会社の軸足をシフトしていま

す」一方で「パナソニックは赤字になると、シャカリキになってリストラしますが、危機が終わると組織全体

が緩んで変革が中途半端に終わるというパターンを繰り返してきたようにみえる。やはり新生パナソニックは

なお広い事業領域を大胆に絞り込み、強みを持つ分野に人やカネを集中できる体制づくりを急ぐべきだろう」

と指摘しています。企業の健全な成長、発展には事業モデルの見直しや刷新は必要不可欠です。これには事業

の長期的視点に立った決断、それに従って年度毎の果敢な経営の取り組みが必要です。想定が外れ成功できな

ければ傷の浅いうちに再び舵を切って再チャレンジしていけばいいのです。パナソニックの復活を願います。

 

NO81 DXとグリーン

2021年1月4日 月曜日

 21世紀に入って21年 しかしこの20年間、日本のGDP(国民総生産)は横ばいで成長が見られません。

日本を代表する大手企業でもほとんどが伸び悩んでおり目覚ましい成長をしている企業は限られています。

2021年以降どうして企業を成長発展させていくか悩みが多いところです。マクロ経済における日本の需要

側面も供給側面も伸び悩んでいます。政府は需要面では消費・投資・公共需要・外需の4つで需要喚起を行っ

てきましたがそれほど成果は上がっていません。一方供給面では資本や労働を利用して財やサービスの生産を

増やすことですが労働力は人口の減少もあり期待できません。あとは資本ストック(投資)が増えることと生

産性が伸びることです。この面でも世界的に見ても日本は低迷しています。やはり過去の成功体験を引きずっ

て新しい挑戦が出来ていないというべきでしょう。これからの時代のキーワードは「デジタル」と「グリー

ン」です。今の延長線上に成長・発展はありません。

デジタル技術の変化を原動力として社会や企業活動を変えていくデジタルトランスフォーメーション(DX)を

本格的に推し進め「仕事を便利に」「生産性向上」に結び付けていくことです。そしてもう一つが単なる内部

留保ではなく投資を通じて資本ストックを拡大することです。テーマは「デジタル投資」に加えて地球温暖

化ガスの排出を2050年にゼロにする「グリーン投資」です。

日本経済新聞の2021年1月1日号の朝刊一面に「脱酸素の主役 世界を競う」「第4の革命 カーボンゼ

ロ」「日米欧中動く8500兆円」とあります。第1の革命は農業革命 第2の革命が産業革命 第3の革命

が情報革命です。そして第4の革命がエネルギーの主役を交代させる「脱炭素 カーボンゼロ革命」になると

言われています。気温は第2の産業革命後、約1度上がっているそうです。このままでは30~50年に上昇

幅が1・5度になり、相次ぐ熱波や洪水、海面上昇、山火事が地球の異変を告げ生態系の変化・損失、食料・

水不足、感染症の増加が起こってきます。いよいよ官民挙げての取り組みが始まります。「デジタル」と「グ

リーン」に今一度目を向け直しビジネスチャンスと受け止め自社ならではの切り口で取り組みを開始してくだ

さい