2020年5月

NO74 アマゾン撃退法

2020年5月23日 土曜日

 世界最大の小売企業、全米に4700店舗を持つ売上高56兆円を誇る米ウォールマートが時代を席巻するアマゾンに対して反転攻勢を強め業績をあげて

 います。日経ビジネスで特集(2020、1,20号)ウォールマートは日本のスーパーの他ホームセンター、衣料、家具、家電量販店の役割を担ってお

 り、「エブリーデイ・ロー・プライス(毎日低価格)」を実現してきたからこそ小売りの巨人になったのです。そしてアマゾンの脅威から近年はIT・EC

 への投資(全投資の68%)を拡大し業績低下の懸念を払拭したのです。

・店の店員がカートを押して棚から商品を次々とかごに入れている。これはウォールマートのEC(電子商取引)事業を牽引している「オンライン・

 グローサリー(食料雑貨)・ピックアップ(OGP)」の作業です。OGPはネットで食料品等を注文して店で受け取る、取り置きサービス。客はあら

 かじめ専用アプリ内で牛乳や野菜を選んで会計し、取りに行く店と時間帯を選択する。指定した時間に合わせ来店し、ピックアップ専用の駐車スペ

 ースに止めると従業員がトランクまで持ってきてくれる仕組みだ。ウォールマートの経営幹部は「店舗を配送とピックアップの拠点と考えれば店

 舗はデジタル体験を拡張し、我々の次の10年を守る存在だ」という。

・米国3都市で始めた「インホーム・デリバリー」サービス。顧客宅に上がり冷蔵庫に食品を置いていく先進的なサービス。高齢者の親に代わって

 子供が注文。ECで入った注文に沿って、近くの店舗で商品を集めカメラを身に付けた従業員が配達にに向かう。アマゾンが17年から始めた玄関

 の中に荷物を置いていく「キー・バイ・アマゾン」に対抗して19年から始めている。年98ドルで無制限配達を実施

・デジタルシフト成功の背景に4つの要因

  1. 人材獲得:ECサイトの運営会社を次々と買収、エンジニアを獲得 オムニチャンネル化(複数販売チャンネルを活用、実店舗とネットの境界を融解 連携し多様な販売機会を創出)という小売りの潮流の変わり目を担う
  2. 働き方の変革:人を増やさずロボットを活用 15分毎に自走式ロボットが巡回、棚の欠品情報をサーバーに送る、従業員の端末に表示され、それに従って補充等をする。
  3. アジャイル思考:従業員が知りたいことを何でもスマートフォンに向かって話しかけると答えてくれる店舗運営で必要な質問アプリ、アジャイルとはすばやいという意味
  4. トライ&エラー:ウォールマートは様々な面でトライ&エラーを繰り返している。新たな顧客向け新サービスや従業員向けツールを導入する際には「まず5店舗くらいから始め広げていく、失敗の可能性が高いものはやめる」

ウォールマートはトップの旗振りでデジタルシフトを鮮明にし実店舗とIT・EC活用で成功しつつあります。

 

 

NO73 ニッチトップ

2020年5月20日 水曜日

「ニッチの分野を攻め、そこでナンバーワンになる」

これはすべての中小企業の生きる道だと思っています。例えば旅行業界でしたら断然トップはJTB、その他の大手と言えば日本旅行、阪急交通社、

近畿ツーリスト等が多い中で、規模の小さな企業が生き残っていくにどうしたらいいのでしょうか?

それはやっぱりニッチな分野でナンバーワンになることです。1つの例がエイチ・アイ・エスです。(株)エイチ・アイ・エスは1980年に設立、

設立して5~6年目くらいで会社がぐらついた時期があったそうです。そこできちんと組織を作り会社の目標を立てみんなでその方向に進むように

したことです。組織作りと共に事業を少しずつ広げています。はじめは旅行好きを相手に一般には知られていないニッチなツアーの企画をしたそう

です。人気だったのは中国ツアーだったそうです。当時は観光で中国に入るのが難しかった時代です。でも実は香港ではビザがとれたのです。香港

までの往復航空券と香港のホテル宿泊をセットして売り出し大ヒットしたそうです。また今ほど人気の観光地でなかったバリ島に目をつけバリ島で

ナンバーワンになるよう、徹底的にプロモーションをかけ売り出し実際にナンバーワンになったそうです。その後タイなど他のアジア諸国にも広げ

ニッチを攻めてナンバーワンになっていったのです。90年代後半には大手旅行会社も安いツアーを販売してきました。エイチ・アイ・エスも影響を

受けるかと思ったそうですが大丈夫だったそうです。大手は法人・団体客には強いのですが個人旅行にはあまり得意ではなかったようです。たくさん

売れば航空券もホテルの仕入れも有利です。今や資本金110億円、年商8000億円、従業員14000人の堂々たる一部上場企業の旅行会社大手

です。澤田社長は『エイチ・アイ・エスがここまで成長できたのは、ニッチな分野でナンバーワンを目指して、前例がなくても挑戦してきたからなの

でしょう。「オンリーワン」と「ナンバーワン」が、勝つためには大切なのです』とおしゃっています。(参考:日経ビジネス2020、1,20号)