代表ススムのブログ

NO93 顧客満足

2021年12月22日 水曜日

 今回は顧客満足について考えてみたいと思います。顧客満足(CS)はCustomer Satisfaction(カスタマー・サティスファクション)のことで鈴木豊氏の「顧客満足の基本がわかる本」(PHP文庫)とインターネット情報をもとにしています。

企業が提供する商品やサービスが、顧客の期待値(満足度)にどの程度、応えているかを定義する用語です。

顧客は「商品」を買っていると考えられがちですが、実はそうではなく、商品の先にある満足という価値を買っているのです。著名な経営学者であるドラツカーは「顧客は満足を買っている」という言葉を残しています。

つまり顧客満足度は顧客が購入前に抱く期待値と、実際の商品価値とのギャップで決まるわけです。顧客が満足すればリピーターになったり、満足した顧客が商品の情報を拡散したり、売り上げ拡大につながる可能性があります。顧客満足度を高める基本的条件は「親身になって赤の他人の求める様々な要求にどれくらいきちんと応えられるか」ということです。専門的知識を駆使して答えるだけでなく、親身になっていなければ顧客は満足してくれないということです。

顧客満足の基本的要素は①商品②サービス③企業(店舗)イメージの3つです。

さらに顧客満足度を飛躍的に高めるための新3原則として

①ホスピタリティ(もてなしの心:接触力)

  • エンターテインメント(驚くような感動をもたらす:演出力)

③プリバリツジ(特別待遇:提案力)と言われています。

さらに顧客満足度を向上させる具体策として

①既存顧客のカスタマーサクセス強化(顧客を成功に導くということで顧客に対して受動的対応ではなく自社商品に対して抱く疑問や不満を事前に予測し、先回りのフォローをすることで顧客満足度を上げる方法)

②CRMやSFAを活用(CRMやSFAを導入活用して正確かつ早く顧客分析をして顧客満足度を向上させる方法)

③従業員満足(ES)の向上(従業員満足度が高い会社であればモチベーションも高く仕事に取り組むことで業務の質が向上し、結果として良い製品やサービスを顧客に届けることも可能となる)

もう1つ多くの企業が繰り返してしまう“顧客不満足”の3原則(3つの思い込み)というのがあります。

  • 売り手は顧客のことをよく考えて行動していると思い込んでいます。しかし本当は顧客のことよりも自己の都合を優先していることが圧倒的に多いのです
  • 満足している顧客は、他の商品や店舗に目もくれないと、思い込んでいます。顧客は満足していてもしばしば他人の食べ物や持ち物に目移りするものです
  • 売り手は、調べてみれば顧客ニーズはわかると思い込んでいるのです。顧客は滅多に本当のことを言ってくれません。なぜなら顧客の求めているものは“すべてを”なのです。

顧客満足度は長期的視点での“顧客維持(カスタマー・リレーション)”の関係形成が不可欠です。大切な顧客として継続的、かつ高度に特典が提供される仕組みがあれば、顧客は誰でもその企業に対し特別なロイヤリティーを示し、長く付き合える関係を築こうとする態度を表明するものです。優良顧客を生み出し大事に育てることです。

NO92 気候危機

2021年11月4日 木曜日

 国連のグテレス事務総長は英国のグラスゴーで10月31日から開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を前に日本経済新聞に寄稿されました。大変感銘を受けました。主な内容を紹介します。就任宣誓式に臨み、総会に向けて演説を行うアントニオ・グテーレス次期国連事務総長©UN Photo/Eskinder Debebe

(参考:日本経済新聞2021年10月29日、31日、11月2日、4、16日、日経産業新聞11月30日)

 ・気候危機は人類に対する赤信号だ。

 ・警告の兆しはもはや見過ごせないレベルに達している。気温は至るところで過去最高を更新し、生物多様性

  は過去最低の水準に落ち込んでいる。海は水温が上昇し、酸性化が進み、プラスチック廃棄物で窒息死しか

  けている。今世紀末には人類が住めない死の地帯が大幅に増えるだろう。

 ・英医学雑誌ランセットでは気候変動は数年後に「人間の健康を左右する要因」になると指摘した。広い範囲で

  飢餓や呼吸器疾患、大災害、新型コロナウイルスよりもひどい感染症の大流行を引き起こすほどの危機だ。

 ・各国政府が最近、気候変動の新たな目標を表明しているのは歓迎すべきで非常に重要だ。それでも気温

  の上昇幅が2度を上回る悲惨な状態に向かっている。パリ協定で合意した1,5度目標とは雲泥の差が

  ある。科学はこの目標を達成するのが唯一の持続可能な道であることを示している。この目標は十分に

  達成可能だ。今後10年で世界の温暖化ガス排出量を2010年比45%削減し50年までに実質ゼロを

  達成すれば可能になる(現時点では産業革命前から気温は既に1,1度上昇している)

 ・全ての国は、化石燃料を燃やす旧式の開発モデルは自国の経済と地球に対する死刑宣告になると認識する

  必要がある。私たちは今すぐに、あらゆる国のあらゆる部門で脱炭素を進めなくてはならない。補助金を

  化石燃料から再生エネルギーに振り向け、人ではなく汚染に対して課税すべきだ。

 ・経済協力開発機構(OECD)加盟国は30年までに、全ての国は40年までに石炭からの段階的な脱却も進め

  るべきだ。人々が政府の主導を期待するのはもっともだが、私たち全員に人類の未来を守る責任がある。

  企業は気候への影響を軽減しなくてはならない。自社の業務と資金の流れを完全かつ確実に脱炭素の未来に

  足並みをそろえる必要がある。全ての社会の個人は食事や旅行、買い物の際により良い責任ある選択をする 

  べきだ。

 ・全ての国がこの移行を果たせるように支援するため、世界は団結しなくてはならない。先進国は発展途上国

  に気候変動の投融資を年間1000億ドル(11兆3000億円)以上提供するとの約束を至急果たさなく

  てはならない。国連は人類が直面する最大の脅威への対応の合意を形成するために76年前に設立された。

  だが今回のような存亡をかけた真の危機に直面するのは異例だ。進むべき道は1つだ。気温上昇を1,5度に

        抑えることだけが人類にとって存続可能な未来だ。行動を起こさなくてはならない。

今回のCOP26については、地球の気温上昇を産業革命前より1,5度以内に抑える努力目標を実現するには、世界

で10年比で温暖化ガスを45%削減する必要があります(2015年12月パリ協定として196カ国が参加、国際協定として合意)しかし危機感は共有できたものの現状の目標を足し合わせても30年時点で13,7%増となり1,5度目標の達成にはほど遠いもので、達成には30年にかけて中国、インド、ロシアの大幅な排出削減に加え日本や米国の追加努力が欠かせないことがわかりました。COP26での合意内容は①1,5度目標を目指し「努力追求」②石炭火力発電の段階的な削減③途上国への資金支援の拡充(先進国による年1000億ドル)④国際排出枠の取引ルールの4項目です。アントニオ・グテレス事務総長は「前進のための基礎を手に入れた」と述べています。産業革命前からの気温上昇は1,5度以内に抑える努力を追求すると明記され、足並みをそろえた意味は大きいと思います。

NO91 顧客理解

2021年10月30日 土曜日

2021年8月9日号から4週にわたって日経ビジネスに「顧客起点の経営改革」という特集が組まれました。

この記事はロート製薬やP&Gの「パンパース」などで手腕を発揮され数々のブランドや事業をヒットさせてきたマーケティングコンサルタントである西口一希さんによるものです。ロート製薬ではスキンケアブランド「肌ラボ」を担当し、売上を8倍に伸ばされたそうです。「顧客起点の経営改革」の要点をあげます。

  ・経営者が「思うようにうまくいかない」事態において共通するのは、意思決定の土台となるべき「顧客

   理解が弱い」ことだ。

  ・既存顧客も、潜在顧客もすべて数字として平均化、最大公約数化して捉えている以上新規顧客の獲得、

   顧客のファン化、あるいは新規の事業創造への具体的アクションは見えてこない

  ・顧客起点の経営改革のためには、以下のフレームワークの理解と適用が大事である。

         顧客起点の経営改革フレームワーク(経営のブラックボックス)

経営対象

顧客心理

顧客行動

財務結果

管理が可能

・新規顧客獲得への投資

・既存顧客維持への投資

・既存顧客育成への投資

 

プロダクトの開発、改良

上記を実行する組織、人材、

教育、オペレーション文化

特定顧客層(WHO)の特定のプロジェクト認知形成(機能・特徴・イメージ)

 

その顧客層(WHO)の便益、独自性(WHAT)となり購買意向となる

顧客数×

新規の流入(+)

・アイテム、単価、頻度

・定着率(既存顧客化)

単価×

 ・既存の維持・流出(-)

・アイテム、単価、頻度

頻度=売上  

(BtoB-リード数、商

談数、案件化数、受注数)

売上-

費用=

利益  

管理が困難

・競合や代替品の動き

・社会環境と価値観

 

 

変動費+

固定費

  ・顧客が見えていないとは、まさに図の左から2つめの「顧客心理」がブラックボックスになっている

   ことに他ならない。

  ・どの企業も右端の「売上-費用=利益」、言い換えると売上最大化と費用の最小化による利益の最大化

   を事業成長のために追いかけている。一方、その財務結果を得るために経営が対象にするものが左端の

   「経営対象」だ。顧客獲得や維持、育成のための投資、それによるプロダクトの開発から人材育成まで

   の組織内での策は管理が可能と言える。

  ・一方、管理が困難な要素が競合や代替品の動き、また社会環境や価値観の変化だ、これらは管理がで

   きないながら費用を左右する。つまり経営が管理する対象への投資は、そのまま「変動費+固定費」に

   なるのではなく「管理が困難」な要素の影響によって常に変動する。

  ・ここで、あるべきプロセスとは①経営が対象とする「新規顧客の獲得」「既存顧客の維持・育成」への

   投資が顧客に届き②顧客の心理が変化し③顧客行動が変化し④その結果として投資対効果が最適化され

   利益が向上することだ。

  ・経営が可視化すべきは、顧客心理と顧客行動の関係を可視化し、経営と組織全体に実装できれば、投資

   効果を高め、収益性の向上を実現できる。逆に顧客心理と行動の関係が見えないままの投資は、顧客行

   の変化をただ“期待”しながら暗闇に投資するようなもので、費用だけが確実に積み上がることになる。

 顧客起点の経営改革フレームワークの部分の紹介だけに終わりましたが(表がうまく表示できていませんが)

 今までにない価値あるマーケティングのフレームワークだと思います。

NO90 温暖化リスク

2021年9月1日 水曜日

 IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)が2021年8月9日に第6次報告者を発表しました。

それによると産業革命(1760~1830年)前と比べた世界の気温上昇が2021~40年に1,5度に達するとの予測を公表したのです。(参考:日本経済新聞2021,8,10日)

温暖化は前回発表した2018年の想定より10年ほど早くなるとのことです。そしてもう一つ今回は『人間の活動の温暖化への影響は「疑う余地がない」と断定した』ことです。自然災害を増やす温暖化を抑えるには二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする必要があると指摘しています。

確かに世界人口は1世紀頃から産業革命ぐらいまでは数億人であったものが1950年には25億人、2017年には75億人と爆発的に増えています。2050年には97億人とも言われています

産業革命前は半世紀に1回だった猛暑は1,5度の上昇で9倍、2度で14倍に増えると予測されています。強烈な熱帯低気圧の発生率も上がり干ばつも深刻になり、平均海面水位は直近120年で0,2メートル上がっているとのことです。気候変動のリスクを正面から受け止め、対策を急ぐ必要があることは言うまでもありません。

    IPCC第6次評価報告書から平均気温が上昇すると異常気象が増える

温度上昇

1度(現在)

1,5度の場合

2度の場合

熱波など極端な高温

気温

発生率

+1,2度

4,8倍

+2度

8,6倍

+2,7度

13,9倍

極端な大雨

雨量

発生率

+6,7%

1,3倍

+10,5%

1,5倍

+14%

1,7倍

農業に被害を及ぼす干ばつ

発生率

1,7倍

2倍

2,4倍

2100年までの海面上昇(1995~2014年比)

高さ

  

0,28~0,55

メートル

0,32~0,62

メートル

21世紀に入り、新興国や途上国の経済成長に合わせ温暖化ガスの排出は急増しています。気温はこれまで約1度上昇しています。顕著な影響は山火事です。20年に大きな被害が出た米カルフォルニア州のほかロシアやカナダ、トルコ南西部でも相次ぎ、北極圏は他の地域の2倍超のペースで温暖化が進み、気温が1,5度上がった場合、海面上昇や台風で世界の1億4千万人が浸水などの被害を受けると予測しています。

IPCCは化石燃料の削減など抜本的な対策を取らない場合、気温は今世紀末に最大5,7度も上昇すると試算しています。影響はさらに深刻になりかねません。

報告書では「次の10年が決定的に重要だ」と声明を発表しています。今世紀半ばに温暖化ガスの排出を実質ゼロにするために、石炭火力発電の廃止や電気自動車への移行の加速が不可欠との見方を示しています。

政府は8月4日、30年度に温室効果ガス排出量を13年度比46%削減する目標達成をめざし計画案を示しました。2013年の温室効果ガスの排出量(実績)は14億800万トン、それを30年には7億6000万トンに46%削減する目標です。

政府は具体的には工場などの産業部門は1億7300万トン(37%)オフィスなど業務部門は1億1800万トン削る。家庭部門は1億3800万トン(66%)の大幅な圧縮を見込んでいます。CO2排出量の7割が電力由来であることから、計画案では省エネ家電への買い換えやLEDへの取り替え、断熱効果の高い建材による住宅改修、屋根に設置する太陽光発電、高効率給湯器の導入促進などをあげています。発電所を含むエネルギー転換部門では再生可能エネルギーを現在の2倍に増やすなどして発電由来のCO2を抑える方針を示しています。

温暖化リスクは待ったなしのところまで来ています。それぞれの立場で温暖化を食い止める取り組みが必要です。

 

NO89 米中関係

2021年8月26日 木曜日

 中国には仕事の関係でこの40年で20回以上訪れています。ほとんどが上海、広州でしたが別途、旅行で杭州、西安に訪れたことがあります。私が接触した中国の人々は、それぞれ優秀で主張すべきことは主張しますし仕事もできる、日本に対して敬愛の念を持っていました。しかし初訪問の時、街はずれや商店街を見てみると日本の戦後の様で「汚い」「不衛生」人々の生活状態は豊かとは言えない状況だったと思います。また仕事のレベルは古いやり方のまま前近代的で日本に比べて30年、50年遅れているなと思いました。しかし中国は79年の国交正常化以降、現代中国の父と呼ばれる鄧小平や周恩来の登場によって「韜光養晦(とうこうようかい:能力を隠して力を蓄える)」「経済改革・開放路線」を推し進めます。そして89年の天安門事件を乗り越えて、この40年欧米、日本に学んで驚異的な発展を遂げました。GDP世界2位の大国です。

1971年、キッシンジャー大統領補佐官が極秘訪中して半世紀を迎えます。ここで米国がとり続けてきた中国との一定の関係を維持しながら変化を促す「関与政策」が終わろうとしています。そこで米中2人の識者の今後

についての意見を取り上げたいと思います。(参考:日本経済新聞夕刊2021,8,20日「政界Zoom」脱キッシンジャー路線、米中識者に聞く)

<対中政策を米政府や議会に助言している弁護士ゴードン・チャン氏>

 ・米国は中国共産党政権の本質を見誤った。国際秩序に組み入れれば共産主義体制も良好なものになるという

  認識を持ち続けてきた。実際には関与政策は失敗に終わり中国の危険性が一段と増しただけだった。

 ・旧ソ連が崩壊した1991年頃に政策変更すべきだった。民主主義と共産主義の戦いはゼロサムゲームだ

  (誰かの得点(利益)が同じ分だけ誰かの失点(損失)となる。その総和(=サム)が常にゼロである)

  もはや米国は中国に関与すべきではない

 ・貿易、投資、技術協力などを含めて関係を断ち切るべきだ。彼らは米中の接触を不当に利用し、私たちを打

  ち負かそうとしている

 ・中国は知的財産権の窃取や略奪的な貿易によって米国や日本から富と成長力を奪っている。その意味で世界

  経済のエンジンではなく、むしろ障害物と言える。これまでの優柔不断な対中政策が今のような危険な状態

  を作り出した。リスクを伴わない政策はもはやなくなった。その中で最善を探るべきだ。

<米国と中日関係に詳しい上海外国語大学廉トクカイ教授>

 ・米国が中国と一定の関係を維持しながら経済発展や民主化を促すキッシンジャーの対中政策に戻ることは

  もうないだろう。両国は協力と競争が同居する新しい関係になった。キッシンジャー氏の関与政策の背景に

  は米ソ関係があった。

 ・長い間、米国にとって中国がソ連以上の脅威になることはなかった。状況が変わったのは最近だ。中国の経

  済力は世界第2位になり米国の背中を捉えている。おそらく10年以内に追い越すだろう。軍事技術も急速

  に進歩した。北東アジアでは米国と互角以上の実力を備えつつある。

 ・中国が主張するのは「新型大国関係」だ。米国に取って代わるつもりはなく大国同士でウィンウィンの関係

  を築きたい。この考えが米国でなかなか理解されない。米国が中日関係を引き離そうとしており、残念なが

  ら政治上の理由から協力が進まない。

「日本は地理的に近い中国と経済関係を断つのは現実的ではなく、不要な対立を避ける必要がある。日本外交は米中対立の狭間で隘路(狭くと通りにくい道)を探るしかない」と新聞では締めくくっています。

NO88 イキイキする人

2021年8月20日 金曜日

 今日、仕事帰りの電車で50歳を超えて「イキイキしている人」と「枯れている人」がはっきり分かれるという夕刊フジの記事に目を見張りました。これを書かれたのはエッセイスト・作家の潮凪洋介(しおなぎようすけ)という方です。

『イキイキしている人は

      ・好きで得意のことをしている

      ・友愛のある良好な人間関係の中で生きている

      ・最低限のお金に困っていない

 の3つの要素を兼ね備えている』というのです。私も同感です。

補足で

  • 大切なのは幸福度指数。財産と幸福度は比例しない。たとえ大金を得たとしても本当にドキドキワクワクすることをしているかどうか?分かり合える家族や友達がいるかどうか?その2つがなければお金を得ても本末転倒。もちろんお金は大切だが、最低限の収入を得たならば何が本当の幸せか考えることが大切だ
  • 自分の居場所は自分でつくる
  • 夢を見るには「体力」が必要。ほっておくと筋肉は目に見えて衰える。筋肉貯金をしよう。体が資本。

    私は「ウォーキング」を加えた方がいいと思います。

これに関連して世界の喜劇王と言われたチャールズ・チャップリンが残した言葉があります。

   『人生は恐れなければ、とても素晴らしいものなんだよ!

          人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのお金だ』

NO87 パナソニック

2021年7月27日 火曜日

 パナソニックがいまだ苦しんでいます。私などは松下幸之助さんの講演を聴いたことがある(大阪商工会議所にて:30代の頃)世代で、前職の製品をたくさん買っていただいたお客さんでもありパナソニックに尊敬の念と愛着があります。

2021年3月期は売上高6兆7000億円、純利益は前期比27%減の1650億円にとどまっています。また2000年以降21年間、売上高は8兆円から9兆円で伸び悩み、純利益が赤字の期もあり低迷してきました。

パナソニックは松下通信工業、松下電工や三洋電機などの子会社化や融合などに追われて次の方向を示し切れなかった10年の間に、同じコングロマリットである電機大手は将来への解を打ち出しています。ソニーグループはエンターテイメント、日立製作所はIOTサービス基盤「ルマーダ」を事業の中心に据えています。そして2社とも戦略図にそぐわない事業を切り離すなど構造改革を徹底して業績を改善し21年3月期に純利益が過去最高を更新しています。

津賀一宏前社長は退任を発表した20年11月、「収益を伴う成長ができなかった」と悔しさを口にしています。7000億円を超える最終赤字を抱えた就任直後から思えば「次の挑戦が維持できる形でここまでこれた」と一定程度の責務を果たしたと話される。また津賀一宏氏と同期間、社外取締役であった大田弘子氏(政策研究大学院大学特別教授)はこの9年間の津賀体制の評価について「格闘の9年間だった、製造業の収益構造が大きく変わった。大量生産、大量消費で収益を上げるわけではなくソフトウェアやリカーリング(繰り返す、循環という意味で長期的に継続収益を得ることを目的としたビジネスモデル)で収益を上げる時代だ。誰よりも理解してきたのが津賀氏で転換しようと格闘してきた。事業内容がBtoBに変わり変化する力を持ち始めたという感じだ」「継続性が重視されすぎるところがある。変わる力を持ち始めた今、旧態依然を捨て去ることが重要だ」と指摘されている。

後任を託された楠見雄規新社長は次の成長の柱について「まずは各事業で競争力を徹底的に強化してから」そして「パナソニックが経営の伝統、強さ、らしさを取り戻し大きな貢献を生み出す会社にしていきたい」と話されている。事業別5社と米・中の地域別の2社を加えた7つの社内カンパニー制で再スタートが切って落とされました。22年には持ち株会社制へ移行されます。アナリストからは赤字だった液晶や太陽電池からの撤退について「決断が遅い」と指摘されています。現在のパナソニックの時価総額は3兆円と10年前は2兆円でソニーと並んでいましたが今はソニーが13兆円とその差は4倍に広がっています。(参考:日経産業新聞2021,7,20/同2021,7,29)なんとか各事業を成長軌道にのせて再び強いパナソニックの復活を期待したいものです。

NO86 学び直し

2021年6月7日 月曜日

 日本経済新聞2021年6月6日号の朝刊1面「チャートが語る:学び直し 世界が競う 出遅れる日本」という記事に注目しました。

  

  ・上図は「主な先進国の労働生産性と仕事関連の再教育への参加率の比較」です。学び直しと生産性には一定の相関関係があります。

  ・経済開発機構(OECD)のデーターで見ますと仕事に関する再教育へ参加する人の割合が高い国ほど時間あたり労働生産性が高い。

  ・時間あたりの労働生産性では日本は韓国と並んで低位にあり50ドルを下回っており欧米諸国に比べて半分ほどで、この20年日本は

   生産性の伸びが見られないようです。

  ・仕事関連の再教育参加率が日本は35%程度で50%を超えるデンマークやスウェーデンなど欧米の生産性は上位にある

  ・一方社員のITスキルの不足を多くの企業が懸念しており日経とパーソルの共同調査から従業員数300人以下では生産・製造、営業・

   マーケティング、研究開発、情報システム、経営管理の5分野中、営業・マーケティング、研究開発、情報システムの3分野において

   「不十分」生産・製造、経営管理の2分野では「十分」「不十分」ではなく「平均」という回答が寄せられている。(図表不掲載)

  ・生産性向上に必須のスキルを幅広い人材が高められる仕組みを整えなければ国際競争に出遅れる恐れがある。

 

 以上の記事から日本企業の「仕事関連の学び直し」が遅れています。当社も中期経営計画指導、さらには社員研修や管理職研修、幹部研修に

 力を注いできた経験から、一層内容の充実を図ってお客さまの要望に応えていきたいと思います。

NO85 幸せな会社

2021年5月25日 火曜日

 2021年5月24日、日本経済新聞夕刊1面「あすへの話題」というコラムに伊藤忠商事会長の岡藤正弘さんの「商社三冠より大切なもの」という記事を読みました。中でも「社員にとって一番の会社になる」という考えに共感しました。(以下記事要旨)

  • 2021年3月期決算で純利益、株価、時価総額の3つで商社トップに立つという「商社3冠」を達成した
  • 10年前までは「万年4位」と言われたことを思えば感慨深い
  • 目の前の仕事に向き合い、一歩ずつ上を目指してくれた社員たちのがんばりの総和だ
  • ただ、私には3冠よりも大切にしたいものがある。4年前、ある雑誌で「幸せな会社ランキング」の2位に当社が選ばれた。するとがんで闘病中の社員から「私の中では伊藤忠が一番いい会社です」というメールが届いた。長期療養者への対応に感謝したいという内容だった。
  • その直後、悲しい知らせが届いた。葬儀に参列して彼の遺影と向き合うと、涙が止まらなくなってしまった。彼が日本一の会社だと言ってくれた伊藤忠。
  • その伊藤忠をもっといい会社にするために、私には何ができるのか・・・・。
  • 「社員にとって一番の会社になる」は商社3冠より高い山だ。彼に恥じない会社にするための努力を、私は怠ることはない。

企業にとって業績を上げることは大事です。しかし社員第一で「いい会社」「働きやすい会社」にすることもより大切なことだと思います。

今回の「幸せな会社ランキング」調査は、雑誌「プレジデント社」(2017年3月6日号)が大企業の40代男女社員対象に行っているもので「待遇の満足度」「人材の長期育成」「残業時間」「有給消化率」の自己採点スコアで定期的に調査、発表しています。

 

NO84 プラスティックごみと再生エネルギー

2021年4月29日 木曜日

 プラスチックごみ削減や再生エネルギーについて考えてみたいと思います。

(日本経済新聞2021年4月26日夕刊及び環境省のHP参照)

もちろんプラスチックは石油から作られ、生産から廃棄の過程で発生する二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の原因になります。海に流出すると簡単に分解せず、海洋汚染を引き起こします。世界では年間数百万トンのプラスチックが海に流入しているとされ、生態系への影響が懸念されています。日本の廃プラ排出量は2019年で850万トンに上ります。多少減少傾向にあるもののここ5年変わっていません。このうち家庭から排出される一般系は412万トンと前年より7万トン増えているそうです。包装や容器の消費量が増え、排出量の増加につながっています。ソース画像を表示

日本は1人当たりプラ容器包装の廃棄量が米国に次ぐ多さだそうです。1997年に容器包装リサイクル法が施行され自治体が分別回収した資源ごみの再商品化をメーカーに義務付けました。家電など他の個別リサイクル法の先駆けです。ペットボトルには同法の成果が表れ回収率は90%を超え、衣類や車の内装材などに使うリサイクル率も85%と世界最高水準。回収したペットボトルから新しいボトルをつくる動きも広まっています。セブン&アイ・ホールディングスは日本コカ・コーラと組み店頭で回収したペットボトルからリサイクルボトルをつくっています。

プラ製レジ袋は20年7月から有料化されました。その後は受け取り辞退者が増え辞退率は70%を超えているそうです。しかし家庭から排出されるプラごみ

の4分の3以上は容器包装でまだまだこれからというところです。消費者も含め官民一体でプラごみの削減に取り組みたいものです。

一方2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする目標を折り込んだ地球温暖化対策推進法改正案が2021年4月27日の衆議院本会議において全会一致で可決されました。

そこでは経済と環境の好循環を掲げて「グリーン社会の実現」に最大限注力するとして「2050年カーボンニュートラル」を宣言、官民上げて脱炭素を目指すことになりました。中でも再生エネルギーの導入に注力しており①太陽光5、041億kwh/年②陸上風力4、539億kwh/年③洋上風力15,584億kwh/年④中小水力226億kwh/年⑤地熱796億kwh/年 合計26,186億kwh/年となっており2019年の国内総発電電力量実績10,277億kwh/年の2倍以上を再生エネルギーに注力することが伺えます。もちろん原子力や天然ガスなどによる発電も維持するだろうと思われます。特に太陽光発電や風力など再生エネルギーに最大限注力されることは喜ばしい事です。